GSアライアンス、生分解性プラスチック技術でウクライナのグリーン産業復興支援へ ― UNIDO補助対象企業に採択

2025年10月17日
サルガッサムと言われる廃海藻を一部原料とした植物バイオマス分解性樹脂製カトラリー
サルガッサムと言われる廃海藻を一部原料とした植物バイオマス分解性樹脂製カトラリー(出典:GSアライアンス)

兵庫県川西市に本社を構えるGSアライアンス株式会社(代表取締役 CEO:森良平博士(工学))は、国連工業開発機関(UNIDO)と「ウクライナのグリーン産業復興プロジェクト」に関する補助交付契約(グラント・アグリーメント)を締結した。事業予算25万ドル規模のフィージビリティ・スタディ(実現可能性調査)として、2025年9月30日より正式に事業を開始した。

日本企業の技術でウクライナ産業の再興とエコシステム構築を目指す

このプロジェクトは、UNIDOが推進する「日本企業からの技術移転を通じた新事業創造によるウクライナのグリーン産業復興」の一環であり、経済産業省の資金拠出のもと実施される。調査期間は12か月間が予定されており、日本とウクライナの民間セクターが連携し、技術移転・人材育成・ビジネス共創を通じて、ウクライナにおける産業の再興およびイノベーション・エコシステムの構築を目指す。

現地の有機廃棄物を資源化 ウクライナで生分解性素材の開発に挑む

GSアライアンスは、主事業者としてウクライナ企業TETRAVION K Ltd.と協力し、ウクライナ国内に多く存在する農業残渣、わら、トウモロコシの殻などの有機廃棄物を原料の一部として活用し、生分解性プラスチックおよび生分解性樹脂の開発を行う。これらのバイオマス由来製品の実用化を目指し、現地の有機廃棄物を高付加価値な環境技術へと転換する試みである。

ウクライナの有機廃棄物を活用した生分解性プラスチック開発に着手

同社は従来より、植物バイオマスや廃木材などを原料とした生分解性樹脂の製造に取り組んできた。地球温暖化やプラスチック汚染といった地球規模の環境問題に対応するため、石油由来製品の全面的な代替を目指し、以下のような幅広い分野でバイオマス化製品の開発を進めている:燃料、塗料、色材、コーティング材料、ゴム、繊維、化粧品、洗剤、接着剤、肥料、潤滑剤、可塑剤、さらに3Dプリンター用素材などである。

100%植物バイオマス由来のボトル
100%植物バイオマス由来のボトル(出典:GSアライアンス)
廃木材を一部原料とした植物バイオマス由来生分解性樹脂ペレット
廃木材を一部原料とした植物バイオマス由来生分解性樹脂ペレット(出典:GSアライアンス)
植物、バイオマス由来の生分解樹脂を用いて3Dプリンターで印刷して作成した机などの家具
植物、バイオマス由来の生分解樹脂を用いて3Dプリンターで印刷して作成した机などの家具(出典:GSアライアンス)

生分解性素材の製造技術確立を優先 欧州拠点からの支援体制も強化へ

本事業においては、まず生分解性プラスチックおよび樹脂の製造技術の確立を優先し、将来的にはバイオ由来の塗料やコーティング材といった周辺材料の研究開発にも着手する予定である。また、すでに欧州のスイスに支社を構えており、地理的な利便性を活かした現地支援体制の強化も視野に入れている。

国連機関からの高評価と実績 大阪・関西万博で技術発信も実施

GSアライアンスは、2020年にはUNOPS(国連プロジェクトサービス機関)による脱炭素・カーボンニュートラル関連スタートアップ支援プログラムに採択されており、国連関係機関からの評価を複数回受けてきた。現在、同社の技術はUNIDOのサステナブル技術普及プラットフォーム「UNIDO Stepp」や、WIPO GREEN(世界知的所有権機関)にも登録されている。

また、2025年10月7日に開催された大阪・関西万博の国連パビリオンでは、代表取締役の森良平博士が登壇し、同社の技術と国際貢献の取り組みを世界に向けて発信した。

環境技術で実現する産業復興とGX。GSアライアンスの国際展開に期待

GSアライアンスによる本プロジェクトは、ウクライナの豊富な有機廃棄物を活用し、環境負荷の少ない生分解性プラスチック・樹脂の開発を通じて、同国のグリーン産業復興と循環型経済の構築に寄与するものである。UNIDOや日本の経済産業省の支援を受けた本事業は、単なる技術導入にとどまらず、現地企業との協業や人材育成も含めた包括的な産業再生モデルとしての側面を持つ。

今後は、開発された素材の実用化・商業化に向けたステップへと進み、バイオ由来の塗料やコーティング材料など、さらなる製品群の展開も見据えている。加えて、欧州拠点との連携により、ウクライナのみならず欧州市場への展開も視野に入れた国際的な技術普及が期待される。

環境技術を核とした産業支援と国際貢献を同時に実現する本プロジェクトは、戦後復興とグリーントランスフォーメーション(GX)の両立を目指す先進的な取り組みとして、今後の展開にも注目が集まる。

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