日本3Dプリンター、CAD不要で治具設計ができる「Igniform」を7月提供開始 現場主導の治具内製化を支援

2026年6月17日
『Igniform』(出典:日本3Dプリンター)
『Igniform』(出典:日本3Dプリンター)

日本3Dプリンター株式会社(東京都中央区、以下、日本3Dプリンター)は、関連会社の株式会社FabriAI(東京都中央区)と共同開発した製造現場向け治具設計ソフトウェア「Igniform(イグニフォーム)」を、2026年7月1日に提供開始する予定だ。開発はFabriAIが担当し、日本3Dプリンターが販売を担う。

Igniformは、CADの専門知識を持たない現場作業者でも、3Dプリンターで使用する治具や固定具を直感的に設計できるデスクトップアプリケーションである。テンプレートを選択し、ワークのSTLデータを指定するだけで造形用データを生成できるため、製造現場における治具の内製化を後押しする。

治具設計の属人化を解消するために開発

近年、製造現場では部品の位置決めや保持、検査、工具管理などに使用する治具を3Dプリンターで内製化する取り組みが広がっている。

一方で、治具設計にはCADソフトの操作スキルが必要となるため、設計可能な人材が限られることや、設計業務が特定の担当者へ集中しやすいことが課題となっていた。

また、製造現場で扱う形状データやノウハウは機密性が高く、クラウド型サービスにデータを預けることに不安を感じる企業も少なくない。

Igniformは、「CADが使えなくても治具を設計したい」「設計データを外部に出したくない」という現場の声を受けて開発されたソフトウェアである。

Igniform活用イメージ(出典:日本3Dプリンター)
Igniform活用イメージ(出典:日本3Dプリンター)

完全オフラインで運用できるデスクトップアプリ

IgniformはWindowsおよびmacOSに対応したオンプレミス型のデスクトップアプリケーションである。

インターネット接続を前提とせず、設計データを外部へ送信することなく、治具設計から造形用STLデータの出力までを端末内で完結できる。

ユーザーインターフェースは日本語に対応しており、3DデータやCADに不慣れな作業者でも利用しやすい設計となっている。

なお、製品名の「Igniform」は、「ignite(点火する)」と「form(形づくる)」を組み合わせた造語であり、現場のアイデアを素早く形にするという思いが込められているという。

8種類のテンプレートを搭載

Igniformには、用途に応じた8種類の治具テンプレートが搭載されている。

  • シャドウボード
  • 位置決めプレート
  • Vブロック
  • 組立ガイド
  • クランプ固定治具
  • 検査・測定治具
  • 溶接位置決め治具
  • 物流トレイ

ユーザーは用途を選択し、寸法やワーク形状を指定するだけで治具設計を行えるため、CADによるモデリング作業を必要としない。

写真から治具を生成する「Photo-to-STL」

Igniformの特徴的な機能の一つが「Photo-to-STL」である。

2次元コードを配置した専用トレイ上にワークを置いて撮影することで、コードを基準に画像の向きを補正し、輪郭を抽出して2.5D形状を生成する。

これにより、工具管理用のシャドウボードや簡易的な置き治具などを短時間で作成できる。

ワーク受け治具は最短3クリックで作成可能

ワークの3Dデータが存在する場合は、STLファイルを読み込み、治具がカバーする高さ方向の割合を指定するだけでワーク受け治具を生成できる。

同社によると、最短3クリックで治具モデルの作成が可能だという。

また、生成された治具をプレートとコーン主体の構造へ変換する「シンプル化機能」も搭載。造形時間の短縮や材料使用量の削減にも役立つとしている。

ラベル刻印や造形見積もり機能も搭載

Igniformは、治具表面へ管理番号や名称などを刻印できる日本語対応のラベル刻印機能を備えている。

さらに、造形前には印刷可能性を自動でチェックし、問題箇所の修正提案を行う機能も搭載。ソフトウェア内で設定した造形サイズやヘッド速度などの条件を基に、造形時間や材料使用量の目安を算出することもできる。

治具設計のハードルを下げる4つの特徴

同製品の主な特徴として、以下の4点が挙げられる。

  • 完全オフライン・オンプレミス環境で運用可能
  • 少ない操作ステップで治具を設計できる
  • CAD知識不要で学習コストが低い
  • 8種類のテンプレートで幅広い用途に対応

これらの特徴により、これまで一部の担当者へ依存しがちだった治具設計を、現場の作業者自身が行える環境の実現を目指している。

6月開催のJP3DPユーザーフォーラムで紹介

Igniformは、2026年6月19日に開催される「第2回 JP3DP ユーザーフォーラム in 大阪」で紹介される予定だ。

会場はアットビジネスセンター大阪本町(大阪国際ビルディング)。定員は50名で、Igniformに関する紹介セミナーは16時から1701号室で実施される。

参加には事前申し込みが必要となる。

編集部コメント

3Dプリンターによる治具製作は、多くの製造業で活用が進んでいるものの、実際にはCADスキルを持つ一部の担当者へ業務が集中するケースも少なくありません。Igniformは、その課題に対して「CADを使わずに治具を作る」というアプローチで挑戦するソフトウェアと言えそうです。

特に注目したいのは、完全オフラインで利用できる点です。生成AIやクラウドサービスの活用が広がる一方で、機密性の高い製造データを外部に出したくないというニーズは依然として根強くあります。そのため、オンプレミス環境で完結する設計ツールは一定の需要がありそうです。

また、Photo-to-STL機能は工具管理や5S活動との相性も良く、中小製造業でも導入しやすい仕組みと言えるでしょう。今後のテンプレート拡充や機能追加によって、どこまで現場の設計業務を効率化できるか注目されます。

用語解説

■ 治具(ジグ/フィクスチャ)
部品の位置決めや固定、検査、組立などを行うための補助工具。品質の安定化や作業効率の向上を目的として製造現場で広く利用されている。
■ STL
3Dプリンターで広く利用される3Dデータ形式。立体形状を三角形ポリゴンの集合として表現する。
■ オンプレミス
クラウドではなく、自社のPCやサーバーへソフトウェアを導入して運用する方式。機密情報を外部へ送信せずに管理できる。
■ シャドウボード
工具や備品の収納位置を形状に合わせて可視化した管理ボード。工具の紛失防止や5S活動の推進に活用される。

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