創業70年超の町工場が開く、地域とつながる新しいものづくり拠点

2026年1月7日
「つくるわね」公式webサイトより。出典:友成工芸
「つくるわね」公式webサイトより。出典:友成工芸

アクリルトロフィーをはじめとする高品質なアクリル製品を70年以上にわたり製造してきた 株式会社友成工芸 が、工場2階を全面改修し、複合型ものづくりスペース「つくるわね」を立ち上げた。公式Webサイトは2025年12月25日に公開され、2026年から本格的な運用が始まる予定である。長年、世田谷区池尻三宿エリアで操業を続けてきた町工場が、地域に向けて扉を開く。その取り組みは、製造業と地域社会の新しい関係性を示す事例といえる。

「つくりたい」という気持ちを受け止める場所

「つくるわね」は、「あなたの『つくりたい』想いを形に。」をコンセプトに設計された空間だ。3Dプリンターやレーザー加工機を備えたものづくりスペースに加え、作品展示を行うギャラリー、交流の場となるキッチンを併設。作業だけに閉じない、創作と人の往来が自然に交わる拠点として構想されている。個人では導入が難しい設備を使いながら、試作や小ロット製作、表現活動に取り組める点が特徴である。

公式サイトで伝える「背景・空間・活動」

今回公開された公式サイトでは、施設の設備紹介にとどまらず、立ち上げの背景や今後の展開までを体系的に発信している。

  • 「つくるわね」について
    創業70年の町工場が、なぜ地域に開かれた空間づくりに踏み出したのか。その想いや経緯が紹介されている。
  • 施設案内
    ものづくりスペース、ギャラリー、キッチンそれぞれの役割や利用イメージを具体的に解説。
  • イベント情報
    ワークショップや交流イベントの予定をカレンダー形式で掲載し、継続的な活動を可視化している。
「ものづくりスペース」と「キッチン付きギャラリー」出典:友成工芸
「ものづくりスペース」と「キッチン付きギャラリー」出典:友成工芸

利用開始は2026年1月から、当初は会員制で運営

「つくるわね」は、2026年1月以降に利用受付を順次開始する。
当初は【会員限定・事前予約制】とし、設備の安全な運用と利用者同士の安心感を重視する方針だ。初心者向けのワークショップや体験型イベントも段階的に実施予定で、詳細は公式サイトやInstagramを通じて案内される。

クラウドファンディングで目標200万円を達成

本プロジェクトに先立ち、2025年10月からクラウドファンディングを実施。143名の支援者から総額2,031,000円の支援を集め、目標金額である200万円を達成した。支援者から寄せられた期待を背景に、施設は本格始動に至っている。

クラウドファンディングサイト
https://for-good.net/project/1002244

クラウドファンディング「for good」出典:友成工芸
クラウドファンディング「for good」出典:友成工芸

町工場を「閉じた場所」から「開かれた場所」へ

池尻三宿エリアは、かつて多くの町工場が集まっていた地域だ。しかし現在、その姿はほとんど見られなくなり、友成工芸が数少ない存在となっている。「この町に工場があり続けること自体に意味がある」。その考えのもと、工場2階の居住スペースをフルリノベーションし、地域の人々が立ち寄れる空間へと転換した。

「つくるわね」を支える3つの要素

アイデアを形にする、ものづくりスペース
3Dプリンターやレーザー加工機などを備え、構想段階のアイデアを実物として検証できる環境を用意。長年のアクリル加工で培ったノウハウを背景に、実践的なものづくりを支援する。

ものづくりスペース。出典:友成工芸
ものづくりスペース。出典:友成工芸

人が交わる、キッチン付きギャラリー
クリエイターや学生の作品展示に対応するギャラリーとキッチンを併設。展示を見る、食を囲むといった行為を通じて、自然な対話やつながりが生まれる空間だ。

ギャラリー空間。出典:友成工芸
ギャラリー空間。出典:友成工芸

地域にひらかれた、まちのまなび場
ものづくりに限らず、地域の交流会や学びの場としても活用可能。世代を越えたコミュニケーションのハブとしての役割も担う。

多世代が交流する場へ。出典:友成工芸
多世代が交流する場へ。出典:友成工芸

原点は、職場体験に来た中学生の変化

プロジェクトのきっかけは、コロナ禍前に実施した職場体験だった。
当初は関心を示していなかった中学2年生の生徒が、アクリル加工を体験する中で次第に没頭し、最終日には「もう1個つくりたい」と自ら手を動かし始めた。

その経験から、「自分の手でつくる体験が人を変える」という確信が生まれたという。子どもも大人も、失敗を恐れず試せる場をつくりたい。その思いが「つくるわね」の根底にある。

施設概要

  • 名称:ものづくりスペース「つくるわね」
  • 所在地:〒154-0001 東京都世田谷区池尻4丁目26-7 ファインテラス池尻 2階
  • 運営:株式会社友成工芸
  • 主な設備:3D彫刻機、レーザー加工機、3Dプリンター、キッチン、展示スペース

【「つくるわね」WebサイトURL】https://tsukuruwane.com/

【Instagram】 https://www.instagram.com/tsukuruwane/

【株式会社友成工芸 WebサイトURL】https://tomonari.co.jp/

シェアラボ編集部コメント

町工場が持つ加工技術と、地域にひらかれた空間づくり。その両立は簡単ではない。「つくるわね」は、製造業が地域とどう関われるかを静かに示す実例であり、今後の展開にも注目したい。

用語解説

■ 町工場
地域に根ざし、少人数で高い加工技術を担ってきた中小規模の製造拠点。日本の製造業を下支えしてきた存在であり、近年は後継者不足や都市部再開発の影響で減少が続いている。
■ 複合型ものづくりスペース
工作機械を備えた制作環境に加え、展示・交流・学びの要素を組み合わせた空間。単なる作業場ではなく、人やアイデアが行き交う拠点として設計される点が特徴。
■ 3Dプリンター
デジタルデータをもとに、樹脂などの材料を積み重ねて立体物を造形する装置。試作や小ロット生産に適しており、近年は教育・地域活動の現場でも活用が広がっている。
■ レーザー加工機
高出力レーザーを用いて、切断・彫刻・マーキングを行う加工機。アクリルや木材などの加工に適しており、デザイン性の高い製品や部品製作に用いられる。

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