有限会社ホワイトラビット(以下、ホワイトラビット)は、ボクセルデータを対象とした3D画像解析・処理ソフトウェア「Molcer Plus」のメジャーアップデート版「Molcer Plus ver. 2.0」をリリースした。今回のアップデートでは、X線CTやMRIなどのボリュームデータに対するセグメンテーション機能を拡充し、より直感的かつ高精度な解析作業を可能にしている。
研究開発や非破壊検査の分野では、CTデータから対象物を正確に抽出するセグメンテーション作業が重要な工程となる。Molcer Plusは従来の2次元断面中心の操作とは異なり、3次元モデル上で直接データを扱える点を特徴としており、今回のバージョンアップではその強みをさらに高めた。
目次
3次元空間上で直感的にデータを編集
Molcer Plusは、X線CTやMRI、共焦点レーザー顕微鏡などで取得した断面画像群から構成されるボクセルデータの解析・加工を行うソフトウェアである。
一般的なセグメンテーションソフトでは、断面画像上で対象物を塗り分けるような作業が必要となる。一方でMolcer Plusは、3次元表示されたモデル上で直接操作できる独自のインターフェースを採用しており、座標軸に縛られない作業環境を実現している。
ボクセル加工機能を強化
今回のアップデートで強化されたのが、ボクセル値を直接補正する「ボクセル加工」機能だ。
CTデータにはノイズや濃度ムラが含まれることが多く、これらがセグメンテーション精度に影響を与える場合がある。新版では、任意の断面で元データを参照しながら輪郭抽出を行えるようになり、3D形状と断面画像を行き来しながら効率的に編集作業を進めることが可能となった。
また、接続された物体を狭窄部で分離する「物体分割」や、指定サイズの凹凸を自動認識する「凸凹抽出」といった自動処理機能も利用できる。
さらに、一部のボクセル値を元データに戻す「元データで置き換える」機能も追加され、自動抽出結果の部分修正など柔軟な編集が可能になった。
自由断面を用いた手動セグメンテーションに対応
手動セグメンテーション機能も改良された。
利用者は任意の方向で作成した複数の断面形状を基に、ラベル領域を補間して生成できるようになった。複雑な形状を持つ対象物でも、より自由度の高いセグメンテーション作業が行える。
計測・解析機能も充実
Molcer Plusには、距離や角度、面積、体積、重心といった基本的な計測機能に加え、幾何形状へのフィッティングやランドマーク登録機能も搭載されている。
また、オプション機能として粒子・空隙解析や方向・配向解析を利用できる。多数の粒子や空隙の統計情報を一括で出力・解析できるほか、方向性を持つ構造物の自動抽出にも対応する。
研究開発用途だけでなく、製造業における非破壊検査や品質評価の分野でも活用が期待される。

編集部コメント
X線CTの普及に伴い、取得したデータをいかに効率よく解析するかが重要なテーマとなっている。特に製造業では、鋳造品や樹脂部品、積層造形品(3Dプリント品)の内部欠陥評価や寸法検査にCTデータが利用されるケースが増えている。
Molcer Plus ver. 2.0は、従来の断面ベースの作業から一歩進み、3D空間上で直感的にセグメンテーションを行える点が特徴だ。3Dプリンティングや材料研究、医療分野など、複雑な内部構造を扱う現場での活用が期待される。
用語解説
| ■ ボクセルデータ(ボリュームデータ) 3次元空間を小さな立方体(ボクセル)の集合として表現したデータ形式。X線CTやMRIなどで取得される内部構造情報の解析に広く利用される。 |
| ■ セグメンテーション 画像や3Dデータの中から特定の対象物や領域を抽出・分類する処理。医療画像解析や非破壊検査において重要な工程の一つ。 |
| ■ 非破壊検査 対象物を破壊することなく内部構造や欠陥を調査する検査手法。X線CTは代表的な非破壊検査技術の一つとして利用されている。 |
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