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業務用3Dプリンターの価格帯

業務用3Dプリンターは、試作や治具製作から、製品に使用する部品の製作までさまざまな用途で使用されています。その機種は造形方式や使用する材料により各種あり、装置価格も大きく変わります。装置によって導入コスト、ランニングコストも変わるので、使用目的や製作したい製品に合わせて検討が必要です。造形方式、使用材料別に業務用3Dプリンターの価格帯について解説します。

業務用3Dプリンターの価格帯

業務用3Dプリンターの価格帯は、造形方式や使用する材料によって変わります。また、同じ造形方式であっても、造形できるサイズや精度によっても価格は違ってきます。造形方式によっては多くの付帯設備が必要であったり、使用する材料が大変高価であったり、導入コスト、ランニングコストに関しても違いが出てきます。ホビー向けの3Dプリンターでは数万円もしない安価なものもありますが、製造業向けのものは精度が高く、扱える材料も工業向けのより高機能なものばかりなので、ホビー向けと比較して高価です。付帯設備も含めた導入にかかる全体的なコストや、導入後のランニングコストなども考慮した上で、機種を選定することが求められます。

造形方式から選ぶ

3Dプリンターを選択する上で検討する項目の1つに造形方式があります。方式により扱える材料や、仕上がりの表面形状などが異なってきます。また、サポート材の有無や、材料の再利用の可否など、ランニングコストに係わる点も異なります。

結合剤噴射/ BJT(Binder Jetting)

結合剤噴射方式は、粉末状の材料に対して、結合剤(バインダー)をノズルから噴射して固化させることで造形を行います。造形後は熱反応や化学反応を利用して固めます。樹脂や金属、砂や石膏が用いられ、樹脂や石膏の場合にはバインダーを着色することで、フルカラーの造形が可能です。砂は鋳造用の型の造形に用いられます。石膏は造形後の強度が低いので、ホビーや完成形状確認用のモデル製作などに用いられています。

装置価格は、金属を造形するものでは、数千万円から1億円程度のものがあります。造形後に焼結させる炉が必要になります。砂を用いるものは大型のものが多く、同じく数千万円から1億円程度になります。樹脂を扱うものは、500万円程度から3,000円程度まで各種あります。こちらも造形後の後処理のための装置が必要です。また、空調設備や材料の除去、再生設備なども必要になります。金属材料は樹脂と比較して高価です。

指向性エネルギー堆積/ DED(Direct Energy Deposition)

指向性エネルギー堆積方式は、レーザー(メタル)デポジションとも呼ばれます。粉末やフィラメント状の金属をレーザーや電子ビームなどで加熱、溶融し、積層する造形方式です。方式のバリエーションにはLENS(Laser Engineering Net Shape)、MPA(Metal Powder Application)、WAAM(Wire and Arc Additive Manufacturing)などがあります。LENSはノズルから材料を噴射しながらレーザーで焼結し、モデルを造形していきます。

DEDは主に金属の造形に用いられ、さまざまな金属の造形に対応可能です。装置価格は1億円から3億円を超えるものもあり、小型で低価格なものでも3000万円程度になります。また、設置には防火設備や特殊な空調設備が必要な場合があり、材料に使用する金属は特殊なものが多く比較的高価です。

粉末床溶融結合法/ PBF(power bed fusion)

粉末床溶融結合方式は、敷き詰めた粉末材料の指定された部分にレーザービームや電子ビームを照射することで断面部分を焼結する造形方式です。ビームの種類や扱える材料により、MJF(Multi Jet Fusion)、SLS(Selective Laser Sintering)、SLM(Selective Laser Melting)、EBM(Electron Beam Melting)などがあります。金属、樹脂、セラミックなどの材料が使用可能です。

価格は数千万円から2億円程度まで各種あります。樹脂を造形する比較的小型のものならば、500~1,000万円程度のものも。粉末が外部へ飛散しないようにする空調設備や防爆設備、材料の粉の再生設備なども必要です。

材料押出方式/ MEX(Material Extrusion)

材料押出方式は、糸状(フィラメント)にした熱可塑性樹脂などの材料を加熱、溶融させ、ノズルから押し出して積層、固化することで造形していきます。現在の3Dプリンターでもっとも多く使われている造形法であり、多くの樹脂材料に対応可能です。近年では金属と樹脂を混ぜたフィラメントを用いて、造形後に樹脂を除去することで金属の造形を可能としたものもあります。
ホビー向けの装置でも使用されている方式であり、価格は他の方式と比較して安価です。装置価格は、100~200万円程度のものから、数千万円するものまで幅広くあります。多くの装置は、設置場所さえ確保できれば使用できるので、付帯設備もあまり必要としません。フィラメントは湿度に弱いものが多く、保管庫が有った方がよく、造形時に臭いが出るので換気が可能な部屋に接地することが望ましいです。

材料噴射方式/ MJT(Material Jetting)

材料噴射方式は、3Dプリンターのノズルからモデル材とサポート材をステージに噴射し、材料に応じて紫外線の照射や加熱、冷却することで硬化させ、複雑な造形物を高解像度・高精度にモデリングできる造形方式です。使用する材料や材料を噴射するノズルの違いにより、MJ(Material Jetting)、NPJ(Nano Particle Jetting)、DOD(Drop on Demand)などがあります。フルカラーの造形にも対応可能です。

装置価格は、小型のエントリーモデルならば200~300万円程度ですが、造形サイズが1000mmに達するような超大型のものだと5000万円から1億円ほどに及びます。1000万円から3000万円程度の装置も数多くそろっています。材料により空調設備や洗浄設備等が必要になり、大型の装置では設置場所の工事も必要です。

シート積層/ SHL(Sheet Lamination)

シート積層方式は、紙や樹脂、金属などの薄いシート状の材料を、一層ずつその層の断面形状に合わせた輪郭線で切断し、設計した形状になるまで接合、積層を繰り返します。比較的新しい技術で、この方式を用いた機種は数少ないという状況です。

材料を硬化させる際に熱や紫外線などが不要です。100~200万円程度の装置があります。

液槽光重合/ VPP(Vat Photopolymerization)

光造形方式とも呼ばれる液槽光重合方式。光硬化性樹脂に紫外線レーザー光などを照射することで必要な部分を硬化させ、積層させます。ガルバノミラーを用いて照射位置を調整して造形するSLA(Stereo Lithography)や、広範囲を一度に照射するDLP(Direct Light Processing)などがあります。滑らかで高精度な造形が可能です。

業務用3Dプリンターでは、小型のものだと100万円前後から、大型のものでは1,000万円を超えるものもあります。光硬化性樹脂を保存する容器や、造形後に洗浄する設備が必要になります。使用する材料によっては排水についての注意も必要です。

材料から選ぶ

3Dプリンターを材料で選ぶ場合、大きく分けて「樹脂」「金属」「それ以外」の3カテゴリーに分けられます。

樹脂から選ぶ

3Dプリンターで扱える樹脂には、ABS樹脂、ABSライク、ASA、PC-ABS、PLA(ポリ乳酸)、PEI(ポリエーテルイミド)、ゴムライク、PA(ポリアミド)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、PPライク、光硬化性樹脂(UV硬化樹脂)などがあります。金属を扱う3Dプリンターと比べ、樹脂のみを扱う業務用3Dプリンターは比較的安価です。

PAのように融点の高い樹脂はSLS方式(Selective Laser Sintering/粉末焼結積層造形)が多く用いられるので、他の樹脂よりも装置価格は高めになります。また、FDM(Fused Deposition Modeling/熱溶解積層方式)で造形が行える樹脂でも、融点の高いPCやPEIなどの樹脂に対応するためには、ハイエンドな装置が必要です。ABSライク、ゴムライク、PPライクのように、各樹脂と近い特性を持たせた紫外線硬化レジンがあるので、小型のものであれば比較的安価なVPP(Vat Photopolymerization/液槽光重合方式)の装置の導入もできます。

PLAは材料として安価で造形がしやすい材料ですが、強度や耐久性が低いので業務用として用いられることは少なく、ホビー向けの装置で主に用いられます。

金属から選ぶ

金属の3Dプリンターでは、ステンレス、インコネル、チタン、アルミニウム、コバルトクロム、マルエージング鋼、銅、タングステンなど、一般的に広く使われている金属から、特殊用途に使用されることが多い金属まで各種造形ができます。

造形できる3Dプリンターは、PBF(Powder Bed Fusion/パウダーべッド方式)、DED(Direct Energy Deposition/指向性エネルギー堆積)などの方式が主に用いられ、装置価格は数千万円から1億円を超えるような物が多く、かなり高価です。導入における付帯設備も各種必要になる場合も多く、材料自体もレアメタルを含むようなものだとかなり高価になります。

金属を用いた3Dプリント技術は近年非常に注目されており、技術開発が日々進み、従来よりも低価格な装置も出てきました。造形サイズや素材、使用目的などを考慮して幅広く検討することが重要です。

他の材料から選ぶ

樹脂や金属以外の材料には、石膏や砂があります。主にBJT(Binder Jetting/結合剤噴射)による造形が用いられています。石膏を造形するものはフルカラーに対応するかによって価格が変わります。砂用の業務用3Dプリンターは、鋳造用金型向けの物になります。大型のものが多く、数千万円から1億円程度になります。

まとめ

業務用3Dプリンターの価格帯は、造形方式や造形可能な材料の種類によっても幅があります。また、装置によって必要となる付帯設備もさまざまで、材料による価格にも差があります。用途や造形したい形状、素材などをよく考慮して検討する必要があります。また、付帯設備も含めた導入にかかる全体的なコスト、導入後のランニングコストも考慮して機種を選定することも重要なポイントです。

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