3D Systemsが2023年度通年決算を発表

2024.04.03

3D Systemsが2023年第4四半期および通年の決算説明資料について発表した。2023年第4四半期の連結売上高は、前年同期比14%減の1億1,500万ドル（約156億円、2024年3月9日時点）である。非GAAPベースの粗利率は、コスト最適化の取り組みと良好な製品構成の恩恵を受け、第4四半期は41.9%、2023年通年では41.1%に改善した。（上部画像は通年の収益概要。出典：3D Systems）

1 全体の業績について
2 セグメント別の実績
3 今後の見通し
4 その他のハイライト
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全体の業績について

2023年第4四半期の連結売上高は、前年同期比14%減の1億1,500万ドル（約156億円、2024年3月9日時点）である。これは主に歯科矯正ビジネスの逆風とプリンター販売での幅広いマクロ関連の弱さによるものだ。

一方で、材料およびサービスの成長により一部相殺された。2023年通年の売上高は4億8,800万ドル（約663億円）で、2022年比9%の減少となった。歯科矯正の減少とプリンター販売の減少が影響した。

非GAAPベースの粗利率は、コスト最適化の取り組みと良好な製品構成の恩恵を受け、第4四半期は41.9%、2023年通年では41.1%に改善した。調整後のEBITDAは、第4四半期で1,230万ドル（約17億円）の損失、2023年通年で2,450万ドル（約33億円）の損失となり、売上高の減少と投資の増加により前年同期比で悪化した。

セグメント別の実績

3D Systemsの事業セグメントは2つに分かれている。

ヘルスケアソリューショングループ（Healthcare Solutions Group［HSG］）: 医療・歯科向けの3Dプリンティングソリューションを提供するセグメント。パーソナライズド・ヘルスケアや歯科矯正などの分野が含まれる。
インダストリアルソリューショングループ（Industrial Solutions Group［ISG］）: 産業用の3Dプリンティングソリューションを提供するセグメント。航空宇宙、自動車、消費財、エネルギーなどの幅広い業界向けの製品・サービスを扱う。

ヘルスケアソリューショングループの2023年の売上高は、歯科矯正の39%減により18%減の2億1,300万ドル（約290億円）である。パーソナライズド・ヘルスケアは12%成長した。インダストリアルソリューショングループの2023年の売上高は2億7,500万ドル（約374億円）とほぼ横ばいだった。輸送、航空宇宙・防衛、半導体市場の追い風が、宝飾品やその他の工業市場の逆風によって相殺された。

今後の見通し

マクロ経済の弱さが継続すると予想されることから、2024年の売上高はほぼ横ばいを予想しており、4億7,500万ドルから5億500万ドル（約646億円から685億円）のレンジを見込んでいる。内製化とリストラの取り組みにより、粗利率は42～44%を目標としている。利益率の改善とコスト削減により、売上高が横ばいの環境下で、2024年には調整後EBITDAでブレークイーブンまたはそれ以上を達成する見込みだ。

その他のハイライト

2023年末の現金は3億3,150万ドル（約450億円）である。1億3,500万ドル（約183億円）の転換社債を割安で機動的に買い戻した。再生医療への投資を継続し、第4四半期には材料、プリンターのアップグレード、アクセサリーなど9つの新製品を提供した。今後は運転資本の改善と持続可能な収益性の確保に注力する。

3D Systemsは、歯科矯正ビジネスの大幅な落ち込みやマクロ経済環境の弱さによる業績への影響を受けたが、パーソナライズド・ヘルスケアの成長や製造の内製化などの取り組みを通じて粗利率を改善した。2024年は売上高が横ばいの中でも、利益率改善とコスト削減によって収益性の向上を目指す。

今後の成長に向けて、金属3Dプリントやバイオ3Dプリントなどの分野に投資を継続している。手元資金は潤沢にあり、バランスシートは強固だ。短期的な業績の回復には不透明感があるものの、3Dプリント市場の長期的な成長性を捉えるべく、技術開発と事業基盤の強化に取り組んでいくものと見られる。