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シンガポールの培養魚肉スタートアップ企業が日本進出を表明 ― Umami Meats

umami meats

培養魚の開発・導入を行うシンガポール企業Umami Meats(ウマミミーツ、本社:シンガポール、創設者兼CEO:ミヒア・パーシャド)が、日本人の魚食文化を守るため、日本に進出することを発表した。日本への進出にあたり、日本企業と提携することで最先端のテクノロジーと美味しい魚介類を世代を超えて提供するエコシステムを構築することを目指す(画像はUmami Meats提供のイベント風景)。

Umami Meatsとは

Umami Meats社は培養ウナギ肉の製造に取り組んでいる(出典: Umami Meats社)


Umami Meatsは、シンガポールに本社を置くバイオテクノロジー企業だ。幹細胞生物学、機械学習、自動化を組み合わせた培養魚の自動生産プラットフォームを構築している。顧客として想定しているのは水産加工業者で、海洋汚染とは無縁の魚介類の安定供給を目指している。

2022年3月にプレシードラウンドで240万米ドル(約2億7000万円)の資金調達を達成。2022年7月にはバイオ3Dプリンターで培養肉を開発するイスラエル企業「MeaTech」と協業し、2023年1月には3Dプリントされた培養ウナギと培養ハタ製品を開発するために最大100万ドルとなる助成金を獲得している。

培養肉・培養魚の需要が高まる背景

近年、世界的に海洋水産物の需要が高まる一方で、過剰漁獲や海洋汚染による漁獲量の減少や品質の低下により、供給不足が世界的な課題となっており、Umami Meatsによれば2050年までに供給不足は7,000万トンに達することが予測されているという。農林水産省の発表でも日本の水産物自給率は57%と水産物の半分近くは海外からの輸入に頼っているのが現状だ。

寿司、刺身、蒲焼など、日本人が好む魚介は世界中に輸出されているが、乱獲により絶滅を危惧される事態となっている。例えばニホンウナギは生息数が50%減少し、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定された。またメバチマグロは、過去20年間で30%個体数が減少したという。

フードテックの勃興と日本への進出

魚介類の乱獲という構造的な課題を踏まえ、フードテックと呼ばれる培養肉のような新技術への投資と開発が盛んに行われている。世界では30億ドル以上が新たな培養食品企業に投資されており、2030年にはこの分野が100億ドルに達すると予想されている。Umami Meatsもそうしたフードテック企業の一角だ。

Umami Meatsは、日本企業とのパートナーシップの構築と、現地市場向けの技術や製造アプリケーションを生み出すエコシステムの構築に取り組むために日本支社を設立。日本の複数の企業が協力して、地域の文化やサプライチェーンに適した製造エコシステムと消費者向けアプリケーションを構築する「イノベーションラボ」として関係者が集う場所になることを目指すとしている。日本では、ウナギ、ハタハタ、鯛、マグロなど、消費者からの需要が高く絶滅の危機に瀕している魚種の培養に注力する方針だ。

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