Nano Dimension社がDesktop Metal社を買収
Nano Dimension社は、Desktop Metal社を買収することで合意した。これにより、両社は研究開発、営業、管理などのリソースを統合し、年間3,000万ドル(約47億円)以上の相乗効果を生み出す見込みで、試作から主流の工具およびエンドユース部品の生産への移行を促進、重要な高性能医療および電子機器アプリケーションを含む範囲で、プロトタイピングから生産に至る顧客の全ニーズをカバーするAMプロバイダーとなる。(上部画像はNano Dimension社のプレスリリース。出典:Nano Dimension社)
両社の強みと相乗効果
今回の買収により、Nano Dimension社とDesktop Metal社は、それぞれの強みを生かし、統合後のさらなる発展を目指す。Nano Dimension社は、ディープラーニングに基づくAI技術を活用した高度な電子機器製造技術を有し、Desktop Metal社は金属とポリマーなどの3Dプリント技術で市場をリードしている。合併により、両社の技術力が結集され、新たな製品開発や市場拡大が期待される。特に、研究開発部門の統合により、イノベーションが加速し、製品の多様化と品質向上が実現される。また、営業ネットワークの統合により、クロスセルの機会が増加し、顧客基盤の拡大が見込まれる。この相乗効果により、競争力が強化され、業界におけるリーダーシップが確立される。
財務状況と資金調達
今回の買収は、Nano Dimension社の現金を使用して資金調達される。取引完了時点で約6億6500万ドル(約1,050億円)のキャッシュと現金同等物を保有する予定であり、これにより強固な財務基盤を維持することができる。既存のコスト削減措置に加えてさらなる効率化が図られ、Nano Dimension社の財務状況を強化し、長期的な成長と収益性を追求するための戦略的資本配分が行われる。取引は融資条件に依存せず、Nano Dimension社の手元資金を活用することで迅速かつ確実に実行されるという。
取引完了に向けた条件とタイムライン
統合後はAM業界における両社の市場をさらに強化することが期待されている。特に、研究開発の強化と製品ポートフォリオの拡充により、新たな市場機会を開拓。統合後の企業は、業界全体のデジタルトランスフォーメーションを推進し、環境に配慮した持続可能な製造プロセスを確立することを目指している。
両社の取引完了には、いくつかの条件が満たされる必要がある。まず、Desktop Metal社の株主による承認が求められる。また、規制当局の承認も必要であり、これには反トラスト法などの法的要件が含まれる。取引は2024年第4四半期に完了する予定であるが、これはすべての条件が満たされた場合に限られる。さらに、取引費用やその他の調整要因により最終価格が変動する可能性がある。Nano Dimension社は、この取引を迅速かつ確実に進めるために、すでに詳細な計画を立てており、必要な手続きを順次進めている。このように、取引完了に向けた条件とタイムラインは明確に設定されており、予定通りに進行する見込みである。
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