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Nano Dimension社がMarkforged社を買収

Nano Dimension社のプレスリリース。

2024年9月25日、Nano Dimension社がMarkforged社の発行済株式すべてを1株あたり5ドル(約700円)の全額現金取引で取得することに合意したと共同で発表した。この買収によって、Nano Dimension社は、規模と効率性に優れた企業を取得することになる。Markforged社の2023年の売上は9,380万ドルで、粗利益率は47.4%、非GAAPベースの粗利益率は48.6%であった。さらに、2024年第2四半期には粗利益率48.3%、非GAAPベースの粗利益率51.9%を記録しており、さらなる成長の可能性がある。取引が完了すれば、Nano Dimension社、Desktop Metal社、Markforged社の統合企業は、現金および現金同等物として4億7,500万ドル(約690億円)の財務基盤を持つ見込みである。(上部画像はNano Dimension社のプレスリリース。出典:Nano Dimension社)

AM業界でのリーダーシップ強化へ

2024年7月3日に発表されたDesktop Metal社の買収合意に続き、Nano Dimension社はMarkforged社の買収を通じて、AM分野におけるリーダーシップを一層強化する見込みである。Nano Dimension社とDesktop Metal社の統合により、2023年度の売上高は2億4,600万ドル(約350億円)に達すると予測されている。本日の発表によれば、Nano Dimension社、Desktop Metal社、そしてMarkforged社の統合によって、2023年度ベースで合計3億4,000万ドル(約490億円)の売上を達成し、収益性の向上に向けた明確な計画を描くことが期待されている。

資産状況と訴訟関連の負債

2024年6月30日時点で、Markforged社は制約付き現金を含む9,390万ドル(約136億円)の現金および現金同等物を保有している。このうち1,910万ドル(約28億円)は、Continuous Composites社との訴訟に関連する一部の負債をカバーするための制約付き現金である。

Markforged社のContinuous Composites社との訴訟に関しては以前シェアラボニュース内でも取り上げている。以下のリンクをご参照いただきたい。

両CEOが統合の意義を語る

Nano Dimension社のCEO兼取締役であるYoav Stern 氏は、「Markforgedとの統合により、Nano Dimensionはデジタル製造のリーダーとしての地位を確立し、インダストリー4.0の基盤を構築するための積極的なステップを踏み出しています。Markforgedは、実際の生産現場に対応した革新的なAM材料とソリューションを提供する優れた企業です。その実績は、すでに15,000台以上のシステムが導入され、数多くの著名な企業に採用されていることからも明らかです。Shai Terem氏とそのチームが開発した最先端のソリューションに非常に感銘を受けており、彼らと共に仕事ができることを大変楽しみにしています。さらに、Desktop Metalの買収が完了すれば、Nano Dimension、Desktop Metal、Markforgedの統合により、株主、顧客、従業員に対して大きな価値を提供し、収益性の高い成長、卓越したサービス、そしてキャリアアップの機会を実現できると確信しています」とコメントした。

Markforged社のCEOで社長、取締役でもあるShai Terem 氏は、「我々は、先駆的で補完的な製品ポートフォリオを統合することで、高成長産業のお客様に対して、工場で使用される高度な革新的ソリューションをより幅広く提供できるようになることに興奮しています。私たちの製品は独自性がありますが、統合によってさらに規模と財務基盤が強化され、お客様にとってより信頼されるパートナーとなるでしょう。Nano Dimensionと共に、素晴らしい企業とその献身的なチームと協力し、ステークホルダーに最大限の価値を提供できることを楽しみにしています」と述べている。

説得力のある戦略的および財務的利益

Nano Dimension社の製品ポートフォリオが高性能アプリケーション向けのフューズドフィラメントファブリケーション(FFF)を含むように拡大することにより、今後の成長を牽引する最も包括的なソリューションセットが生まれるとNano Dimension社は考えている。今回の取引により、両社の強みを組み合わせ、特に業界の高成長セグメントに適合した印刷技術や材料において、顧客に最も充実したAMソリューションを提供することが期待される。FFFからバインダージェッティング、デジタルライトプロセシング、アディティブインクジェットに至るまで、幅広い材料に対応し、高度なソフトウェアが補完される。

  • 金属AM分野でのリーダーシップ強化
    この分野は、業界全体で最大の成長要因として広く認識されており、AM業界の追い風によってさらなる成長が見込まれている。金属AMはこの流れの中で明確なリーダーとなることが予想されている。Nano Dimension社は、Desktop Metal社の買収によって有望な足場を確立しており、Markforged社の買収でその基盤はさらに強固で広範なものとなる。両社はそれぞれ異なる技術を駆使して最先端の金属AMソリューションを提供しており、顧客はニーズに合わせたソリューションを容易に見つけることができる。
  • 高性能アプリケーション向けの高度な材料に注力
    AM業界の専門家たちは、エンドパーツとして使われるアプリケーションを実現するためには、材料への取り組みが極めて重要であることを強調している。この点において、統合企業は材料重視の姿勢を体現している。Nano Dimension社の材料分野での強みは、Markforged社の連続繊維強化を中心とした複合材料の専門知識によって新たなレベルに引き上げられる。連続繊維の技術は、ポリマー系の用途でも金属並みの強度を実現し、構造や軽量化を推進することで、AMの新しい市場を開拓するだろう。これにより材料開発の範囲が広がり、収益モデルの向上が期待される。
  • 規模拡大による長期的な財務強化
    組織全体のリソースを統合することで、効率性向上やコスト削減の機会が生まれるだけでなく、研究開発とイノベーション能力も強化されることが見込まれている。この統合によって数千万ドル規模の相乗効果が生まれ、今後数年間でさらなるスケールメリットが期待される。Desktop Metal社を含めた場合、さらに大きな成長機会が開かれると予測されている。

取引のハイライト

合併契約の条件に従い、Nano Dimension社はMarkforged社の発行済株式すべてを1株あたり5.00ドルの現金で取得する予定である。統合後の企業は、Desktop Metal社の買収完了後、取引終了時に約4億7,500万ドルの現金、現金同等物、および市場性のある証券を保有する堅固な財務状況が期待されている。取引の完了は、Markforged社の株主による承認や、必要な規制当局の承認を含む、いくつかの取引完了条件に依存している。

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今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から2つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。

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