大塚化学とグーテンベルクが資本業務提携
大塚製薬グループの化学材料メーカーである大塚化学株式会社と3Dプリンターの製造開発を行う株式会社グーテンベルクは、2023年8月に資本業務提携に合意した。3Dプリンターと材料技術の共創に取り組む。(上部画像はグーテンベルクの3Dプリンタ(左)と大塚化学のプラスチック材料で製作されたロボットアーム(右)出典:大塚化学プレスリリース)
グーテンベルクは3Dプリンターの社会実装により、低炭素化やサプライチェーン問題などの 社会課題の解決を目指してきた。2022年6月に販売開始したFFF式3Dプリンター「G ZERO」などを通じて先進的な3Dプリント技術を普及し、試作プロセスや治具設備の低コスト化・高速化の具体化を実現している。
「素材の力を顧客と共に創造的に、かたちにする会社」
一方、「素材の力を顧客と共に創造的に、かたちにする会社」を掲げる大塚化学は多種多様な分野での材料展開を行っていて、2016年より産業用途の3Dプリント向け材料を開発してきた。すでに上市しているポチコンフィラメントは超微細なチタン酸カリウム繊維を熱可塑性樹脂に配合した、真円度が高く均一な太さのフィラメントだ。3D積層造形品としての造形精度が高く長時間の安定造形が可能で、射出成型と同等の強度を発現できるとしている。微細部品の造形も可能で摺動性も優れており、特にZ方向での強度が強いという評価もあるようだ。グーテンベルグの他、Raise3Dも日本の総代理店日本3Dプリンター株式会社が推進するオープンフィラメントプログラムの一貫として取り扱っているなど、着実に客層を広げてきた。
本提携により、3Dプリンター本体と機能性プラスチック材料の技術開発という両社の特色を最大限に活かした事業展開に取り組む。すでに同様の材料を使用した同形状の3Dプリント品と比較して20%もの強度向上を実現するなど、大きな成果が得られている。装置と材料の両面からの研究開発により、さらなる強度向上、機能性材料の出力、3Dプリント独自の材料の開発、品質保証に繋げていきたい考えだ。
2024年上半期には共同開発による3Dプリンターの新機種投入や新しい高機能フィラメント(3Dプリンター向け材料)の市場投入を予定しているということで、具体的な展開はすぐ見える形で現れてくる。従来、機械や材料単体のアプローチでは、3Dプリント用途は既存製造業に求められる生産性や品質には至らないと評価されることが多かった。3Dプリント用途を従来プラスチック成形法の代替や、金型不要の新しい生産方式として確立するべく、 邁進していくとしている。
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