EOS社 産業用3Dプリンティング向け 2つの金属粉末材料を発売
EOS社は2つの新しい産業用3Dプリンティング向け金属材料、EOS NickelAlloy IN738とEOS NickelAlloy K500の追加発売を発表した。どちらもEOSのレーザーパウダーベッドフュージョン(LPBF)方式の3Dプリンティングを活用するさまざまな業界に優れた性能、部品特性、価値をもたらす。(文中画像はEOS社プレスセンターサイト プレスリリース出典:EOS社)
EOS について
EOS(本社 ドイツ)は、産業用3Dプリンティング向けの責任ある製造ソリューションの大手サプライヤーだ。1989 年以来、樹脂・金属材料を使った3Dプリンター装置を製造販売するほかに、戦略から教育、生産まで、専門家の支援、技術、サービスを提供することによって顧客の革新と差別化を実現し、AM活用を通じた製造業の未来を切り開いてきた。
産業用3Dプリンティング向け 2つの金属材料追加発売
EOSは2024年11月12日に、2つの新しいアディティブ・マニュファクチャリング(AM)材料、EOS NickelAlloy IN738とEOS NickelAlloy K500の追加を発表した。どちらもEOSのレーザーパウダーベッドフュージョン(LPBF、粉末床結合法)方式の3Dプリンターで活用できる粉体材料で、ハイエンドな利用環境で用いられる部品の造形を目指している。
EOS NickelAlloy IN738 極度の負荷にさらされる高性能エネルギーおよびターボ機械システム向け
EOS IN738はニッケルベースの材料で、高強度と耐熱性を兼ね備えた 極度の負荷にさらされる高性能エネルギーおよびターボ機械システム向け材料だ。引張強度は1,265 MPa、伸び率は4.5%。従来の製法で製造された超合金と比較して、EOS IN738はタービンブレードやその他のエネルギー関連部品などのような、高負荷の用途において、より高温の環境に耐え、劣化が大幅に少なくなる。EOS IN738でAMにより製造された部品は、産業用3Dプリンティングの持つ特有の利点の活用例として、設計最適化 による追加の冷却機能により、部品の全体的な寿命が延びる期待ができる。
すでにユーザー企業による実用事例もある。カナダ ウィニペグに拠点を置くPrecision ADM社は、エネルギー産業の顧客向けにEOS IN738を使用してタービンブレードを製造した。EOS IN738のテストであると同時に、回転するターボ機械部品に対する、おそらくAMの最初の実使用テストであった。このテスト製造はサプライチェーンの負担とスペアパーツの在庫不足に悩むエネルギー業界の課題を解決する取り組みと言える。
EOSテクノロジーとEOS IN738材料により、標準運転RPM(分間回転数)の110%を達成し、稼働中のタービンによって発生する、華氏1,700 度の熱まで耐えられるタービンエンジンブレードの製造に成功しました。
Precision ADM の医療および産業販売および事業開発担当ディレクター、Derek VanDenDreissche氏
3Dプリントされたタービンエンジンブレードの史上初の成功が実証されただけでなく、EOS IN738がターボ機械アプリケーションに必要な高レベルの熱と負荷に耐えられることも実証されました。簡単に言えば、EOS IN738はこのプロジェクトの成功に不可欠でした。
EOS NickelAlloy K500 コスト効率が高く、優れた強度と耐腐食性
EOS K500は大手宇宙開発組織の要請により開発された材料で、ニッケル合金と銅合金の性能を橋渡しするものである。強度と適度な熱伝導率のバランスの取れた組み合わせを求める製造者に、完全なソリューションを提供する。この材料は、スラスタやノズルなどの宇宙用途、ポンプやバルブを製造する化学処理業社、海洋用途に最適だろう。
EOS K500は、ニッケル超合金の高い機械的強度と銅合金の熱伝導性というAM材料の2つの重要な領域のギャップを埋めます。EOSの材料開発チームは、機械的強度と熱伝導性の両方が同時に必要となる、あるいは過酷な条件下で使用される宇宙用途のソリューションとして、EOS K500の開発に成功しました。
EOS Metal Materialsの事業開発マネージャー Juha Kotila氏
EOSは、過酷な条件下で積層造形部品を使用する業界向けに、先進的な材料ソリューションを提供し続けています。EOS IN738は、高応力、高温にさらされる用途に亀裂の心配のないソリューションを提供します。一方、EOS K500は、強度、耐腐食性、熱伝導性を兼ね備えているため、極端な温度環境でも優れた性能を発揮します。当社の金属材料ポートフォリオにこれらの材料が加わることで、用途が広がり、産業用3Dプリンティングの適用範囲が広がります。
EOS 製品管理責任者 Hanna Pirkkalainen氏
EOS IN738とEOS K500は、EOS M 290ファミリーのすべてのプラットフォーム向けに、日本含めた全地域で2024年12月に発売される。EOS M 400-4向けには2025年上半期に発売される予定。日本でも、高い負荷がかかる部品のAM製造は需要が高まっており、これらの材料が課題を解決し、AM製造適用が今後広がることに期待したい。
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設計者からAMソフトウエア・装置販売ビジネスに20年以上携わった経験と人脈を基に、AMに関わるみなさんに役立つ情報とつながりをお届けしていきます。