Meltio、アジア防衛分野で技術認証を取得!韓国軍が国内初導入

アメリカ陸軍、フランス陸軍、スペイン陸軍およびスペイン空軍に続き、韓国陸軍がMeltio S.L.(スペイン・アンダルシア州、以下、Meltio)のワイヤー・レーザー方式の金属3Dプリンティング技術を認証した。これにより、大韓民国海兵隊兵站部隊は、韓国国内で初めてロボット型金属3Dプリンターを導入した軍事組織となり、入手困難または製造中止となった部品の自社製造を実現した。これにより、車両の可動性を向上させるだけでなく、コスト削減や安定した補修支援体制の確立にも寄与している。(上部画像はMeltioのプレスリリースより。出典:Meltio)
韓国海兵隊、金属3Dプリンターを初導入
今回、発表された本件は、MeltioとAM Solutions社(韓国・大田(テジョン)市、以下、AM Solutions)による協業によって実現されたものである。AM Solutionsは、韓国陸軍への導入に向けた技術・運用支援を担っており、これは同国軍による金属積層造形技術の初導入事例でもある。

韓国の軍事専門誌「国防日報」の報道およびAM Solutionsによれば、大韓民国海兵隊兵站団は、ロボットベースの金属3Dプリンターを軍の整備支援に活用する初の部隊となった。これにより、入手困難な修理用部品を迅速に製造可能となり、クレーンやフォークリフトによる移動も可能な可搬性の高さから、現地での整備性が飛躍的に向上すると見込まれている。
海兵隊整備大隊の金成南中佐は「金属3Dプリンターの導入は、運用および整備コストの削減のみならず、部品調達の制約による整備遅延の防止にも有効である」と強調し、「安定的な整備支援を実現する最善のロジスティクス支援体制を維持する」との決意を示した。
KAAVなどの維持整備に対応するモバイル型3Dプリンター
大韓民国海兵隊兵站団は「KAAV(装甲水陸両用車)を含む海兵隊専用装備の部品調達困難への対応策として、コンテナ型モバイル金属3Dプリンターを導入した」と発表した。従来から他軍種でも3Dプリンターは使用されていたが、ロボットベースのモバイル3Dプリンター導入は海兵隊が初となる。

今回導入されたMeltioの金属3Dプリンターは、レーザーワイヤー方式のDirected Energy Deposition(LW-DED)を採用しており、金属ワイヤーをレーザーで溶融し積層することで三次元構造を形成する。その他の金属AM技術と比較し、材料の無駄が少なく、コスト効率に優れる。使用可能な材料は、ステンレス鋼、チタン、銅、インコネル等、多岐にわたる。
加えて、Meltioの「ロボット用統合キット」は、産業用ロボットアームを金属3Dプリンターに変換可能なシステムであり、装置サイズの制約を解消し、大型部品や複雑形状の造形、修理、肉盛、機能追加などを柔軟に行える。ABB、Kuka、Fanuc、Yaskawaなど、主要メーカーのロボットに対応している。
さらに、この金属3Dプリンターは、車両移動中でもメンテナンスが可能という「フィールド運用性」の高さも特長であり、海兵隊の主力戦闘装備の保守用途での活用が進んでいる。兵站団は今後2年間で機器の習熟と運用拡大を進めるとともに、フィールド整備用の高精度金属加工機や発電機などの支援機器の整備も拡充する計画である。
世界各国軍におけるMeltio導入実績
Meltioの金属3Dプリンターは、米国、フランス、スペインなど複数の軍で採用されている。特に米海軍では、USSバターンにてMeltioのハイブリッド製造システム(CNCフライス盤との統合型)が実運用されており、限られた艦内空間での即時部品製造を可能としている。
同艦では、老朽化した部品の代替として、Meltioの技術により「バラスト空気圧縮機用スプレープレート」をわずか5日で製造。従来の海軍供給ルートでは数週間を要していたことを踏まえると、大幅な短納期化を実現した。この実績により、Meltioは「戦略的技術パートナー」としてXTechInternational賞を受賞した。
フランス海軍では、MeltioのM450プリンターを使用し、空母「シャルル・ド・ゴール」用のステンレス製部品の製造に成功。また、スペインでは空軍がジェットエンジンの修理においてチタン・銅系合金を用い、陸軍も装甲車両のステンレス部品の製造に活用している。
Meltioの関連記事
今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。
国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。