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最高110℃に耐える3Dプリント粉末状材質 『イグリデュールi230』 ― igus Japan社

「イグリデュールi230」のページ

igus Japan社は、新しいレーザーPBF(粉末床溶融結合法)用3Dプリント粉末状材質『イグリデュールi230』の販売を開始した。この材質は最高110℃の高温に耐え、高温環境での使用に適している。エンジニアリング分野における3Dプリントの利用範囲を拡大し、設計および製造の新たな可能性を提供することが期待される。(上部画像は「イグリデュールi230」のページ。出典:igus Japan社)

開発の背景や高温環境での応用例

『イグリデュールi230』の開発背景には、産業界からの高温環境に耐える3Dプリント材質への強い需要がある。従来の3Dプリント材質では高温環境下での使用が制限されており、エンジニアやデザイナーはその制約の中で妥協を余儀なくされていた。igus Japan社はこの問題を解決するため、高耐熱性を持つ新しい材質の開発に取り組んだ。開発の目的は、高温環境でも性能を発揮できる3Dプリント材質を提供し、設計と製造の自由度を高めることである。

その優れた耐熱性と機械的特性は例えば、自動車のエンジンルーム内で使用される部品や、産業用ヒーターのパーツなどが挙げられる。また、製造現場における高温プロセス機器の部品としても適していて、従来の材料では対応が難しかった過酷な環境下での使用が可能となり、製品の設計自由度が大幅に向上する。

PA12と比較して80%優れた耐摩耗性

『イグリデュールi230』は、従来のPA12(ポリアミド12)と比較して80%も優れた耐摩耗性を誇る。この高い耐摩耗性は、部品の長寿命化と信頼性向上に直結し、特に過酷な環境下での使用において大きなアドバンテージとなる。PA12は優れた機械的特性と耐薬品性を持つため、さまざまな産業で広く使用されてきたが、『イグリデュールi230』はそれを上回る性能を提供することで、さらに高い耐久性を求める用途に対応する。

この耐摩耗性の向上は、igus Japan社独自の素材技術と製造プロセスによるものである。分子構造の最適化により摩擦係数を低減し、摩耗を最小限に抑えることに成功、機械部品やエンジニアリングパーツの耐用年数が延び、保守や交換の頻度が大幅に減少する。さらに、この高耐摩耗性により、高速で稼働する機械や連続使用が求められるシステムでも、安定した性能を維持できる。

iglidur® i230, レーザー焼結材料
iglidur® i230, レーザー焼結材料(出典:igus Japan社)

製品テストと性能評価

『イグリデュールi230』の開発過程では、厳格な製品テストと性能評価を実施した。具体的には、高温環境下での長期間にわたる耐久性試験や、実際の使用環境を再現したシミュレーションテストを行い、その性能を確認。これらのテストにより、『イグリデュールi230』が最高110℃の温度に耐え、過酷な条件下でも安定した性能を発揮することが実証された。今後の導入により、エンジニアリング分野における3Dプリント技術の利用範囲が大幅に広がることが期待され、高温環境下での使用が可能となることで、新たな設計や開発の可能性が広がる。

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