日本製紙が3Dプリンター用CNF強化樹脂のサンプル提供を開始
日本製紙株式会社が、PBF(Powder Bed Fusion/粉末床溶融結合)方式の3Dプリンター用CNF強化樹脂を富士革新素材研究所の実証設備で開発し、サンプル提供を開始した。写真は日本製紙のウェブサイト。(出典:日本製紙)
3Dプリンター用CNF強化樹脂「cellenpia PLAS(セレンピアプラス)」
CNF強化樹脂は、ポリプロピレンやナイロン6などの樹脂中へ、木質資源を活用したバイオマス素材であるCNF(セルロースナノファイバー)を均一分散することにより製造される高強度な新素材で自動車、建材、家電などの分野での利用が期待されている。現在樹脂を利用している部材の軽量化を図ることができる上、マテリアルリサイクル性に優れる。さらに、プラスチック使用量の削減とCO2を主とした温暖化ガス排出削減につながる。
PBF方式の3Dプリンターは、世界で市場が拡大している3Dプリンターの中でも「高強度の成型品ができる」「生産性やカスタマイズ性に優れる」「多種の材料が使用できる」などの特徴により需要が伸びている。今回は日本の3Dプリンター装置メーカー、アスペクト社の樹脂3Dプリンターで開発した樹脂粉末材料となる。
>> PBF(Powder Bed Fusion/粉末床溶融結合)方式 とは
3Dプリンター用のCNF強化樹脂「cellenpia PLAS(セレンピアプラス)」は、CNF強化PA6をベースとしている材料で現行のPA6系の主流材料の一つであるガラスビーズ入りPA6に比べ、成型品が均一、軽量、リサイクル性が高いなどの特徴があり、古い金型を廃棄した自動車部品、微調整が必要な各種補装具など、大量生産ではなくオーダーメイド的な成型品への利用が期待される。
CNF材料の提供を強化する日本製紙
日本製紙では石巻工場でTEMPO酸化CNFを産業用途全般向けに、江津工場でカルボキシメチル化CNF(CM化CNF)を食品・化粧品用途向けに、それぞれビジネスベースで生産し、全国で販売してきた。
また、富士工場においては、CNF強化樹脂「cellenpia PLAS(セレンピアプラス)」を実証生産中でヤマハ発動機と連携して部品開発を行うとともに、各ユーザーへのサンプル提供を実施中だ。2022年11月より、CNF配合天然ゴムである「Cellenpia ELAS(セレンピアエラス)」のサンプル供給体制も整えるほか、2023年4月より、可搬・可調整式製造機によるミクロフィブリル化セルロース(MFC)を開発、サンプル提供を開始。さらにはTEMPO酸化CNFの粉体品であるTD-02Xをラインアップに追加することで、「セレンピアシリーズ」のさらなる拡販を目指すなど、CNF材料の提供を活発化している。
日本製紙は、「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として、新素材・CNFの市場創出を加速し、減プラスチックの構築や地球温暖化対策に貢献することを目指すとしている。
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