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日産自動車、スペイン工場で3Dプリンターを導入し製造コスト削減

日産自動車が、スペインの3DプリンターメーカーBCN3Dの3Dプリンターを導入したことを発表した。日産自動車は以前より3Dプリンターを使った車製造を推進してきた。3Dプリンター活用について、特に欧州では脱炭素の流れで車の電動化に伴い重量化した車両を軽くする取り組みを始め、国内でも積極的な取り組みが進んでいる。
(写真は日産スペイン工場/出典:BCN3D)

今回は、日産自動車がBCN3Dの3Dプリンターを導入した背景やその効果、また自動車業界で加速する3Dプリンターの活用をご紹介する。

3Dプリンターを導入し、自社製造することで95%のコスト削減に成功

日産自動車はBCN3Dの3Dプリンターを、バルセロナ工場の生産ラインで使うジグやフィクスチャーの製造に利用するため導入。同社はこれまでジグやフィクスチャーの製造は主に外部のサプライヤーにアウトソースしてきた。サプライヤーは、主にドリリングやCNCマシニングで製造していたが、品質は高いものの、製造にかかる時間とコストが課題とされてきた。

そこで、自社で3Dプリンターによる製造に切り替えることで、製造コストを95%削減、製造時間も1週間から1日に短縮することに成功した。

日産スペイン工場の様子
日産スペイン工場の様子(出典:BCN3D)

3Dプリンターは現在、毎日24時間稼働しています。これまでに100種類以上のジグやツールなどを製造しています。外部のサプライヤーにアウトソースするとコストは20倍以上になり、時間もかかります。3Dプリンターを使うことでより高い付加価値を創造でき、時間も削減できます。3Dプリンターに投資した分は、すでに回収しています。

日産スペイン工場 メンテナンス・エンジニアリング担当マネージャーのレラン・マルティネズ氏コメント抜粋

自動車業界での3Dプリンターが注目される理由とは

自動車業界は、比較的早期から3Dプリンターの活用が進んでいる。事例としてまだ試作段階が多かったが、先行している欧州メーカーは市販車への活用も進み関心が高まっている。その理由の一つが、各国で進む脱炭素の流れだ。英国では30年、米カルフォルニア州では35年にガソリン車の新車販売を禁じる方針だ。そして、日本でも35年に新車販売を電動車にする目標を政府が打ち出している。

そのような脱炭素の流れにおいて、各メーカーは車の電動化に伴い、重くなる車両を軽くする必要に迫られている。

ここで改めて、3Dプリンターの主なメリット2つをご紹介する。1つは金型が不要になり、デジタルデータさえあれば自由な形状に金属を成型できる点。もう1つは、複数部品を成型するために必要なボルトやシール材が不要になることで軽量化できる点だ。エンジン重量のうち、4~5㎏をボルト類が占める自動車ではその効果は大きくなる。最近ではロケットエンジンにもその技術への活用に注目が高まっている。車両の軽量化にあたっては、このような”AMならでは”のメリットが特に役立つ。

事実、積極的に3Dプリンター活用を進めている日産自動車では、すでに試作段階で6割の部品軽量化を実現しており、その実験から製造工程が7割も削減でき製造コスト削減にも大きな成果が出ている。日本では試作段階だが、独BMWでは2018年からスポーツカーなどの量産車で3Dプリンターでの部品製造を採用するなど、海外では市販車への採用が進んでいる。今後カーボンニュートラルを実現するために各国での3Dプリンターの活用はさらに促進されていくだろう。

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電気自動車イメージ(出典:pixabay)

しかし、実現には課題が多く残る。

3Dプリンターで製造コストが削減されたとしても、実際に量産車を製造していくには従来の方法と比べ圧倒的にスピードが遅い。自動車メーカーの工場では1日1千台単位で車が製造される。鍛造やプレスでは3分で部品を作れるが一般的な金属3Dプリンターでは3日はかかるのが現状だ。

また、大量生産される自動車向けには性能の面から一部部品の施策にとどまっていた。しかし、最近では金属粉に接着剤を塗布して造形する「バインダージェット方式」で、製造時間を10分の1に短縮できる高い生産性を持った3Dプリンターが登場するなど、量産に使える技術は進化してきている。今後のさらなる技術進化に期待したい。

BCN3D Technologiesについて

スペイン・バルセロナを拠点とするBCN3D Technologiesは、デスクトップ型3Dプリンターの大手メーカー。2012年に設立し、幅広い用途に使用できる3Dプリンターを提供している。

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