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米GM、自動車産業における3Dプリンティング実用化に向けた施設を新設

米国自動車大手ゼネラルモーターズ(以下GM)は2020年12月14日、ミシガン州デトロイト郊外の研究開発拠点、ウォーレン・テクニカル・センター内に3Dプリント産業化センター(以下AIC)を開設した。(写真:ウォーレンテクニカルセンター/GMより引用)

以前ShareLab編集部でご紹介したBMWのAdditive Manufacturing Campusの開設や、 米国自動車メーカーのFord(フォード)が4,000万ドルを投じたAdvanced Manufacturing Centerの開設など、3Dプリンターを複数台集めた拠点構築が相次いでいる。今回は、GMの新施設での方向性や取り組みについてご紹介したい。

大規模3Dプリント産業化センターAICとは

GMは30年以上前から3Dプリンターを導入し、プロトタイプ製作に活用し続けてきた。いま、その技術はついに実用化に向けて本格始動し、AICではGMのこれまでの3Dプリンティング実績の集大成となる施設だ。

AICは新たに約1万5,000平方フィート(約1,390平方メートル)の広さで新設。金属とポリマーの部品を印刷する24台の3Dプリンターが設置。熱溶解積層法がメインだが、AICでは選択的レーザー焼結(SLS)や選択的レーザー溶融(SLM)、マルチジェットフュージョン、溶融成膜モデリングといった、さまざまな印刷手法をテストすることが可能となる。

写真 AIC内部の様子(GM提供)
AIC内部の様子(GMより引用)

自動車産業への実用化に向けたAICでの取り組み方針

3Dプリンティングは従来、数週間から数カ月かかっていた部品の製造プロセスを数日まで短縮し、かつ高額な金型製作を省くことで、コストカットが可能。また、溶接が不要となるため、従来は難しかった効率的なデザインを採用することができる

例えばGMは、「シボレー・コルベット」の開発に使用されたブレーキ冷却ダクトに3Dプリンティングを活用。これにより、開発期間が9週間短縮され、コストが60%以上削減されたという。さらにGMは、大型スポーツ用多目的車(SUV)を製造するテキサス州アーリントンの組み立て工場で使用される工具約100種類を3Dプリンターで製造した。これによって、従来は4~18キロあった工具の重さが、ナイロンカーボンファイバーを素材としたことでわずか1.5キロに軽量化された。

AICで生産する部品の多くは、さまざまなテスト環境で生産前の車両に用いられる機能的な試作品となる。GMの付加製造・ポリマーセンターのロン・ドール部長はプレスリリースで、「AICではさまざまな印刷が可能となったことで、試作品開発から工具や生産車両の製造に至るまで、3Dプリンティングの利点をますます活用していく」と述べた。

活性化する自動車産業の3Dプリント活用事例

GMでの事例以外にも、ランボルギーニとcarbon社協働で作成した部品のリードタイムを12週間短縮に成功した事例や、ホンダが砂型3DプリンターをNBoxのエンジン部品量産に活用することで製作期間短縮など、国内外問わず3Dプリンターを活用した自動車部品の製造は積極的に活用されている。

また、最近ではアウディの新型EVのe-tron GTを独工場にてカーボンニュートラルの方法で車両を生産したことで話題になっている。環境に配慮したプロセスでは、組み立て作業ででた樹脂端材を樹脂3Dプリンター用にリサイクルし活用。Audi e-tron GTの製造には、そのような補助具が100以上も使われている。

このように、作業効率、コストカットだけではなく環境に配慮した活用も注目を集めている。今後の自動車産業における3Dプリンターの活用の幅はさらに広がっていくだろう。

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シェアラボ編集部

3Dプリンターの繊細で創造性豊かなところに惹かれます。そんな3Dプリンターの可能性や魅力を少しでも多くの人に伝えられるような執筆を心がけています。

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