民間団体が宇宙ロケットの噴射実験を開始 ― Sanuki Astro Project
民間でロケットを飛ばそうという取り組みは日本でも宇宙ベンチャー企業が取り組んでいるが、よりライトな形で取り組んでいる団体もある。香川県の「Sanuki Astro Project(サヌキ アストロ プロジェクト)」がその一つだ。「Sanuki Astro Project」は香川県で活動する宇宙へのロケット打ち上げを目指す民間の団体だ。2023年6月25日に香川県高松市でエンジンの基礎実験を行った。写真はSanuki Astro ProjectのWebサイト(出典:合同会社R7)
Sanuki Astro Project とは
高度100km、宇宙へのロケット打ち上げを目指す民間の任意団体として「Sanuki Astro Project」は活動している。「コロナ禍の今、世の中はとても閉塞的で落ち込んだ暗い雰囲気になっているなか、『出来ない』という言葉を無くし、世の中を明るくしたい。」とヴィジョンを描く。
6月25日の実験では、3Dプリンター製のノズルが実験中に破壊され、失敗に終わったが、再度7月にも燃焼実験に取り組むという。「宇宙開発」といった国や大企業でも難しいことを、アマチュアであるの「Sanuki Astro Project」が取り組むこと自体が、非常に勇気づけられる取り組みだ。
「Sanuki Astro Project」は、代表を務めるITエンジニアの山本誠一郎氏が2022年3月に立ち上げた民間団体だ。鉄工や機械制御に詳しい約40人の参画を経て、実際にロケット開発に取り組んでいる。現在はロケットの中核部品であるロケットエンジンの製造と燃焼実験に取り組んでいる。現在燃焼実験を行っているロケットのエンジン部分の製作費は約20万円。お湯で液体窒素を気化しそのガスを推進力にしているという。
エンジンの噴射口に設置されている樹脂製のノズルは3Dプリンターで製造されたものだという。2023年6月の燃焼実験では、高圧がかかるノズル部分の強度に焦点を当てていたようだが、ノズルが破損し改善が必要との結果に終わったようだ。
しかし実験を繰り返し、改良を重ねていくことで挑戦しつづける「Sanuki Astro Project」にとって、失敗はものの数ではないだろうし、そこで得られた知見は、多くの学びを内包しているに違いない。こうした無名の取り組みを支える推進力の一つとして、3Dプリンター活用が貢献しているのかもしれない。
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