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スマートフォンで3Dスキャンし、3Dプリンターで犬用義足を作製

3D Petsの義足とカート

アメリカの3Dプリンティング・デザイン会社DiveDesign社の子会社として設立された3D Pets社が、スマートフォンカメラと3Dプリンターを使って、犬用義肢を作製するサービスを開始し注目を集めている。(上部画像は3D Pets社の義足とカート。出典:3D Pets社)

3Dプリンターで個体に合わせた専用の義肢を作製

犬の四肢切断のほぼ半数は、がん治療か事故によるものである。動物用義肢に焦点を当てた取り組みは複数あるものの、広い範囲で効果のある解決策は生み出すのが難しい。

たとえば、犬の場合は前足だけで体重の60%を支えているため、体重を安全かつ均等に分散させることが困難だ。適切な注意を払わないと、片足に力が偏った犬は、将来的に、より深刻な健康状態に陥る可能性がある。

そこで3D Pets社が開発しているのが、3Dプリンターを用いたカスタムメイドの義肢だ。FDM(熱溶解積層)方式の3Dプリンターと3Dスキャンを活用し、動物の体形に合わせた義肢を作製している。ここで注目したいのは、3Dスキャンにはスマートフォンが活用されている点だ。

犬用義肢の作製の流れ

義肢の作製は、まずギプスの作製のために必要な型を取るところから始まる。これはユーザーの元に送られる専用のキットで簡単に行えるという。型を受け取った3D Pets社は、赤外線センサーの反射を利用するLiDARセンターと、iPhoneの「Face ID」機能などに用いられているTrueDepthカメラが搭載されたスマートフォンを使う。型を360度スキャンし、デジタルファイルとしてアップロードする。

その後は、動物の体にフィットするように型の微調整をアプリケーションを使って行い、カスタマイズされた専用のギプスを3Dプリンターで造形する。ギプスの素材にはゴムのようにしなやかな弾力性と硬質プラスチックのような強さを合わせ持った素材であるTPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)が使用されているという。

造形したギプスは、表面を滑らかにするための後処理が行われ、人間用の人工関節部品を取り付けて義肢として完成する。動物にとって装着感が悪ければ、使用するのを嫌がってしまうので、個体に合わせた型から作成する点が重要だとしている。

シンプルに義肢としての役割を持つだけでなく、体形や障がいに合わせたカスタマイズが行えるのは3Dスキャンと3Dプリンターを用いているからこそだといえる。

作製の流れ
義肢作製の流れ(出典:3D Pets社)

義肢を装着することで、従来のように自由に走り回れるようになれば、ペットの健康状態の向上にもつながるはずだ。

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今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。


国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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