産業廃棄物運搬業者が、3Dプリンター用フィラメントの開発に挑戦
産業廃棄物運搬業者の株式会社リステムネットワーク(埼玉県比企郡)が、バイオマスプラスチック(ポリ乳酸=PLA)を原材料とした3Dプリンター用フィラメントの開発製造に挑戦することを、2023年11月30日に発表した。再資源化事業者への参入を目指す。(上部画像は導入予定のフィラメント製造機。出典:リステムネットワーク社)
循環型社会への移行に伴う新規事業参入へ
リステムネットワーク社は、埼玉県を中心に東京や群馬の取引先から排出される廃プラスチックや廃油、木くずなどを中間処理施設や再生処理施設へ運搬することを事業の柱としている。それらを最適ルートで安全に運搬することにより、運搬・運送の分野で環境問題に取り組んできた。
ただ、一方で将来の人口減少と社会全体のリサイクルへの意識の高まりによるゴミ減少から、運搬での地球温暖化ガス排出抑制だけではない、循環型社会により貢献できる新規事業への参入が大きな課題だった。そこで同社は再資源化事業への参入に挑戦するに至ったという。
今回、3Dプリンター用フィラメントの開発という全くの異業種への挑戦は、企業としての持続的な成長を目指す狙いがある。
日本国内では2022年4月1日から施行されたプラスチック資源循環促進法で、2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクルする目標を掲げている。今後、プラスチックのリサイクル資材の使用が増加すると予測されることも、再資源化事業者への参入を後押しする材料となったようだ。
3Dプリンター材料分野における市場は2021年の約3,111億円から、2026年には9,000億円を超えると予想されている。
しかし、3Dプリンターの印刷素材となるフィラメントは、アメリカや中国からの輸入に頼っているのが現状だ。リステムネットワーク社はフィラメントを製造することで運搬によるCO₂軽減と、工場から一般消費者へリサイクル資材の循環をつなぎ、脱炭素社会に貢献する点に新たな商機を見出した。
フィラメント製造に化石資源由来のプラスチックではなく、バイオマスプラスチック(とうもろこし由来のPLA)を使用。2024年1月までに、個人の観賞用のフィギュア作りやドローンなどの部品試作に適したフィラメントの製品化を目指すと発表した。
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