医薬品を個別化作製する3Dプリンターを開発 ― MB Therapeutics
フランスのモンペリエに拠点を置く医薬品3Dプリンティング企業のMB Therapeutics社は、3Dプリント技術を使用した個別化医薬品の作成に焦点を当てた3Dプリンター「Med-U Modular」を発表した。(上部画像は3Dプリンターで個別化医薬品を製作する様子。出典:MB Therapeutics社)
「Med-U Modular」の特徴
MB Therapeutics社は、医薬品基準に準拠した工業用3Dプリンターを保有するフランスおよび世界で唯一の企業だ。
同社が開発した医薬品3Dプリンター「MB-Therapeutics」 は、単一の錠剤内に複数の有効成分を組み合わせて、個別に適応した用量と形状で医薬品を設計できる。最終的には、複数の薬の服用に伴う制約まで克服することを目指す。
「MB-Therapeutics」には3種類の3Dプリント技術が統合されている。ゲルやペーストの押出技術と容積計量投与が組み込まれており、材料を堆積する際には最適な精度と再現性が保証されるという。
「Med-U Modular」は現在、子どもの患者のニーズに特化したものとなっている。幼い子どもにとって、カプセルや錠剤型の医薬品は窒息の危険がある。仮にカプセルを開けて中の液体薬剤を投与する場合には、最大で30%の投与量の誤差が生まれるという。そして、液体タイプの薬は子どもに使用できない場合や、正確な分量での投与が難しいという課題がある。
MB Therapeutics社は、錠剤と液体の利点を組み合わせて、薬剤師が個人に合わせた用量と剤形で医薬品を自動的に製造できる新しいソリューションとして、「Med-U Modular」を開発した。「Med-U Modular」で作製した薬剤は微量の水で分散できるため、子どもでも飲みやすく、かつ正確な量の薬剤が投与できる。
「Med-U Modular」を用いることで、薬剤師は、手動調合の柔軟性を維持しながら、工業生産品質でプロセスを自動化でき、親は、子どもに処方された用量を窒息のリスクを減らして正確に投与できるようになる。
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