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Avio Aero社、CatalystターボプロップエンジンのFAA認証取得を発表

Avio Aero社のプレスリリースより。

Avio Aero社(イタリア、リヴァルタ・ディ・トリノ)は、Catalystターボプロップエンジンが米国連邦航空局(FAA)の認証を取得したことを発表した。本エンジンは、FAR(連邦航空規則)Part 33 の認証を受けるために、23基以上の試験用エンジンと190を超えるコンポーネントの試験を実施した。Catalystは、3Dプリンティングを活用して製造された部品を採用しており、従来の製造技術では難しい軽量化や高性能化を実現している。この技術により、燃費効率の向上や耐久性の強化が可能となり、次世代ターボプロップエンジンとしての優れた特性を備えている。(上部画像はAvio Aero社のプレスリリースより。出典:Avio Aero社)

21世紀初の新世代クリーンシート設計ターボプロップ、Catalyst

Catalystは、21世紀における初の新世代クリーンシート設計の先進的なターボプロップエンジンであり、設計、開発、製造のすべてをAvio Aero社およびGE Aerospace社のイタリア、チェコ、ポーランド、ドイツの拠点で行った。

Avio Aero社のCEOであるリカルド・プロカッチ氏は以下のように述べた。

「Catalystエンジンの認証は、当社にとって極めて重要なマイルストーンであり、このまったく新しい欧州製ターボプロップエンジンの設計、開発、試験に尽力した全チームメンバーにとって誇るべき瞬間である。我々は現在、エンジンの量産体制の確立に向け、顧客のサポートを全力で進めていく」

最新基準適合のCatalyst、8,000時間の試験運転を完了

Catalystは最新の基準に適合する初のターボプロップエンジンであり、20以上の新たな重要要件を満たしている。認証プロセスの中で、試験用エンジンは8,000時間以上の運転を完了し、その主要性能目標を達成した。

「Catalystは厳格な認証および試験プロセスを経た。我々はエンジンの地上試験および飛行試験を通じた性能に満足しており、Beechcraft Denaliの認証取得および運用開始に向けたTextron Aviationの取り組みを引き続き支援していく」

と、Avio Aero社のCatalyst事業責任者であるポール・コーカーリー氏は述べる。

3Dプリンティング技術が支えるCatalystの高性能化

本エンジンは、3Dプリンティングを活用して製造された部品を多数採用しており、従来の製造方法では困難だった軽量化や複雑な設計の実現に成功している。特に、冷却機能付き高圧タービンブレードや2段階の可変静翼などに先進的な造形技術が用いられており、エンジンの性能向上に大きく貢献している。また、16:1の業界最高水準の全体圧力比を実現し、競合機と比較して最大18%の燃費向上、最大10%の巡航出力向上を達成。3Dプリンティングによる精密な設計と高効率な製造プロセスが、次世代ターボプロップエンジンとしての優れた特性を支えている。

Avio Aero社について

Avio Aero社は、GE Aerospace社傘下の企業であり、民間および軍用航空向けのコンポーネントや推進システムの設計、製造、保守を手掛ける。同社は、急速に変化する市場の要求に迅速に対応するため、積層造形技術、ラピッドプロトタイピング、トランスミッション、タービン、燃焼器の製造技術を活用した革新的な技術ソリューションを提供している。

本社および最大の生産拠点はイタリアのリヴァルタ・ディ・トリノに所在し、ブリンディジおよびポミリアーノ・ダルコ(ナポリ)にも主要施設を持ち、イタリア国内では約4,800人の従業員が在籍している。加えて、ポーランドには工場と試験センター、チェコには生産および試験施設を有し、これらの拠点では約1,100人の従業員が勤務している。

同社は研究開発への継続的な投資と、主要大学および国際的な研究機関とのネットワークを活用し、世界的に認められる技術および製造の卓越性を確立してきた。これを証明するものとして、同社は世界の主要航空機メーカーとの戦略的パートナーシップを締結している。

GE Aerospace社とは

GE Aerospace社は、アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)傘下の航空宇宙事業部門であり、民間および軍用航空機向けのエンジンや推進システムの開発・製造・保守 を行う世界有数の企業である。本社はアメリカ・オハイオ州にあり、長年にわたりボーイングやエアバスをはじめとする航空機メーカーにエンジンを供給している。

主な製品には、GE90、GEnx、GE9X などの大型ジェットエンジンや、CFMインターナショナルとの合弁事業で開発された CFM56、LEAP エンジンがある。

同社は、3Dプリンティング、ハイブリッド電動推進技術、デジタルエンジニアリング などの最先端技術を活用し、次世代航空エンジンの開発を推進している。世界各国の研究機関や大学とも連携し、航空業界の持続可能な未来を支える技術革新に取り組んでいる。

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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