3Dプリンターが次世代のStarbucksを建設、2025年4月オープン

2025年5月14日

Starbucks(スターバックス、アメリカ・ワシントン州)は、米国初となる3Dプリンターで建設された店舗をテキサス州ブラウンズビルに開設。本店舗は1,400平方フィート(約130㎡)の規模で、ドライブスルーとウォークアップ専用の形式を採用し、サステナブルな3Dプリンティング建築のマイルストーンとも言えるだろう。(上部画像は3Dプリンターで建設された店舗。出典:Brownsville Online/Facebookより)

Starbucks初の3Dプリント店舗、6日間で外殻施工

このプロジェクトは、Starbucks、PERI 3D Construction(ドイツ・ヴァイセンホルン、以下、PERI)、COBOD International(デンマーク・カストラップ、以下、COBOD)の3社による共同作業である。PERIはドイツを拠点とする企業で、建設用3Dプリンティングに実績があり、今回はCOBOD製のBOD2ガントリー式プリンターを使用。COBODは建設3Dプリンティング分野で世界的なシェアを有している。

3Dコンクリートプリンティングの採用により、店舗外殻の施工は現地でわずか6日間で完了。これにより建設期間が短縮され、廃棄物も削減され、Starbucksの掲げる持続可能性の目標にも合致している。


座席なし設計と利便性重視の店舗デザイン

建物の外壁には層状の模様が特徴的なテクスチャーが施され、3Dプリントらしさが際立っている。店舗は屋根付きのドライブスルーレーンとウォークアップウィンドウを備え、迅速かつ利便性の高いサービスを提供する設計である。店内席は存在せず、これも近年の外食業界における「店外消費」やテイクアウト志向の高まりを反映している。


「座席なし」が導くQSRの進化!

現代の消費者が求めるのは「早く・便利に・持ち帰りやすく」という点に集約されるという。「座席なし」の設計は、建設速度や清掃コストの低減、顧客の回転効率向上にも寄与する。さらに、狭小地や従来型店舗が不可能だった立地でも出店が可能となる。今回の店舗は最初からこの設計思想で建てられたという点でも新しい。

なお、ブラウンズビルの地が選ばれたのは、テキサス州が近年3Dプリント建築の拠点として注目を集めているためである。PERIはヒューストンでも、建築事務所HANNAHおよび施工会社CIVEと連携し、米国最大の3Dプリント住宅(2階建て・約370㎡)を建設した実績がある。


建築の未来を示す初の3Dプリント店舗を米国で公開へ

なお、Starbucksにとって3Dプリンティングの活用は初めてではない。2017年には中国・上海のリザーブ・ロースタリーにおいて、3Dプリント製のセラミックタイルを用いた特注のティーバーを導入している。ただし、建物全体を3Dプリンティングで施工するのは今回が初である。

この新店舗は、地域住民に新たなコーヒー体験を提供するだけでなく、建築の未来を形づくる可能性も秘めている。米国初の3Dプリントスターバックスとして、今後の店舗展開のあり方に一石を投じる事例となる可能性がある。

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