JAXA宇宙戦略基金 固体ロケットモータの主要材料量産化のための技術開発機関 公募開始
JAXA宇宙戦略基金は、固体ロケットモータの主要材料を量産化するための技術開発機関の公募を2024年8月23日に開始した。打ち上げ必要に応じるため、製造工程の効率化を図る。具体的には、推進薬の製造における前処理や硬化工程の短縮化を目指し、さらなるインシュレーション、火工品、推進薬、前進、モータケースなどの固体モータ主要材料の供給体制を強化することを目的としている。 募集期間は2024年8月23日から2024年10月17日までである。詳細はJAXAのウェブサイト「固体モータ主要材料量産化のための技術開発」をご確認いただきたい。(上部画像はJAXAのウェブサイト。出典:JAXA)
JAXAの技術開発の背景と目的
固体ロケットモータは、そのシンプルな構造と高い即応性、大推力の特性により、日本において1950年代から研究が進められてきた。基幹ロケットの補助ブースタや小型ロケット、さらには民間の小型ロケットにも広く採用されている。米国では、SLS(スペース・ローンチ・システム)やヴァルカンロケットの補助ブースタとして、性能向上やコスト削減を目指した開発が進められ、中国でも最大規模の民間商業ロケットが固体燃料を用いて打ち上げられている。
昨今、衛星打上げ需要の急増に伴い、日本国内の宇宙輸送能力が強化が急務とされている。 このような状況下で、日本の基幹ロケット(H3、イプシロンS)の最近の高頻度な打上げや、民間ロケットの開発・製造が進行中であるが、国内の需要を満たすためには、今後5年で固体モータの生産量を現在の2倍以上に増加する必要があるとされている。
しかし、固体モータには、耐熱性・断熱性が求められる材料や、厳しい環境下で使用できる構造材料、さらには大きなよりエネルギーを考える特殊な材料が必要であり、その多くは国内の限定メーカーまた、現在の製造方法では推進薬の製造工程がボトルネックとなっており、生産の効率化が求められている。
これに対処するため、「固体モータ主要材料量産化のための技術開発」では、固体モータの主要材料の製造能力を強化するだけでなく、推進薬の製造における前処理工程や硬化工程の短縮と高さを決めるため技術の開発が進められているという。以下が、JAXAによる「固体モータ主要材料量産化のための技術開発」の動画だ。
そして、「宇宙戦略基金事業 公募説明」についての動画が以下になる。
国内外の技術動向と競争環境
JAXAが推進する固体ロケットモータ材料の量産技術開発は、日本の宇宙産業のさらなる発展に寄与するものである。特に、3Dプリンターを用いた製造技術の導入により、ロケット部品の設計自由度が向上し、製造コストが大幅に削減されることが期待されている。将来的には、宇宙輸送システムのさらなる高性能化と効率化が進み、日本の技術的競争力が強化されると考えられる。また、3Dプリンター技術を活用した部品製造は、宇宙分野だけでなく、他の産業分野にも応用可能であり、新たな市場の創出と日本の製造業の国際的地位の向上にも寄与するだろう。
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