廃車由来の3Dプリント部品、鈴鹿8耐マシンに採用 リサイクル材の実用性をレースで検証

2026年7月6日
8耐2026を走行予定のHonda Tochigi Racing車(出典:名古屋工芸、Honda Tochigi Racing)
8耐2026を走行予定のHonda Tochigi Racing車(出典:名古屋工芸、Honda Tochigi Racing)

自動車のヘッドランプ由来の樹脂廃材を再資源化した3Dプリント部品が、2026年の鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)に参戦するHonda Tochigi Racingの車両へ採用される。有限会社名古屋工芸がHonda Tochigi Racingと共同開発したゼッケンプレートで、最高時速300km級の過酷なレース環境で実際に使用される予定だ。

廃車由来の樹脂を3Dプリント用フィラメントへ再資源化

今回採用されたゼッケンプレートは、廃車から回収したヘッドランプの樹脂を裁断し、3Dプリント用フィラメントへ再資源化した材料を使用して製作された。

名古屋工芸は、材料の再資源化から3Dプリントによる造形までを一貫して実施。完成した部品は、2026年7月3日から5日に開催される「2026 FIM世界耐久選手権 “コカ・コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第47回大会(鈴鹿8耐)」で使用される予定である。

Honda Tochigi Racingは、本田技研工業の栃木地区で四輪開発や生産技術開発に携わる従業員で構成されたモーターサイクルクラブであり、今回の取り組みではモータースポーツという極限環境でリサイクル材料の新たな可能性に挑戦する。

ヘッドランプ廃材の分解(出典:名古屋工芸、Honda Tochigi Racing)
ヘッドランプ廃材の分解(出典:名古屋工芸、Honda Tochigi Racing)
裁断・粉砕(出典:名古屋工芸、Honda Tochigi Racing)
裁断・粉砕(出典:名古屋工芸、Honda Tochigi Racing)
造形したバイクのフロント部品(出典:名古屋工芸、Honda Tochigi Racing)
造形したバイクのフロント部品(出典:名古屋工芸、Honda Tochigi Racing)
造形したバイクのリア部品(出典:名古屋工芸、Honda Tochigi Racing)
造形したバイクのリア部品(出典:名古屋工芸、Honda Tochigi Racing)

Prusa Pro HT90で造形、100台超の3Dプリンターファームも展開

ゼッケンプレートの造形には、名古屋工芸が代理店を務めるPRUSA RESEARCH製の産業用3Dプリンター「Prusa Pro HT90」を使用した。

フロント部品の3D造形の様子(出典:名古屋工芸、Honda Tochigi Racing)
フロント部品の3D造形の様子(出典:名古屋工芸、Honda Tochigi Racing)

また、廃材がレース部品へと生まれ変わり、鈴鹿8耐のマシンへ搭載されるまでの工程を紹介する動画も公開されている。

さらに同社は、樹脂廃材を3Dプリント用フィラメントへ再資源化する材料開発と造形サービスを展開する「MIRROR FARM」の公式ホームページを公開した。100台を超える3Dプリンターを活用し、試作品から量産まで一貫して対応できる体制を整えている。


シェアラボ編集部コメント

3Dプリントは試作品だけでなく、最終製品への採用が着実に広がっている。今回の取り組みで注目されるのは、廃車由来の樹脂を再資源化した材料が、鈴鹿8耐という世界屈指の過酷なレースで実際に使用される点である。リサイクル材は環境負荷低減だけでなく、性能や耐久性を実証できるかが普及の鍵となる。レースという厳しい環境で実績を積むことができれば、自動車部品や産業用途への採用拡大にもつながる可能性があり、循環型ものづくりの新たな事例として注目したい。

用語解説

■ フィラメント
FDM方式(熱溶解積層方式)の3Dプリンターで使用される線状の樹脂材料。熱で溶かしながら積層して造形を行い、PLAやABS、PETGなどさまざまな種類がある。
■ Prusa Pro HT90
PRUSA RESEARCHが開発した産業用FDM方式3Dプリンター。高温材料に対応し、試作品から最終用途部品まで幅広い用途で利用される。
■ ゼッケンプレート
レース車両に装着される番号表示用のプレート。競技中の視認性を確保するだけでなく、軽量性や耐久性も求められる部品である。

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