セレンディクス社、能登半島・珠洲市で2人世帯向け3Dプリンター住宅の第1号棟を竣工!
兵庫県西宮市に本社を構えるセレンディクス社は、2人世帯向けの3Dプリンター住宅「serendix50(セレンディクス・ゴジュウ)」の販売第1号棟を石川県珠洲市にて竣工したことを発表した。今回建設された「serendix50」は、延床面積50平方メートルの平屋建て3Dプリンター住宅である。構造は「壁式鉄筋コンクリート造」で、建築基準法に適合し、検査済証も発行されている。間取りは1LDKで、夫婦2人が快適に暮らせる広さを確保しており、キッチン、トイレ、バスルームといった水回りも完備している。住宅の本体価格は税別550万円で、基礎工事、内装、電気工事などは別途となる。(上部画像は「serendix50」出典:セレンディクス社)
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積層痕を活かした外装デザインと特殊塗装
部材を出力する際に生じる「積層痕(せきそうこん)」をデザインとして取り入れ、ぷくぷくとした独特の質感をそのまま活かしている。塗装には、一度塗りで耐候性や防汚性を備えた特殊な塗料を採用しており、見た目の美しさを保ちながら施工コストの削減にも寄与している。今回の塗装カラーは白であるが、オプションとして他の色も選択可能である。
被災者を想定した温もりある内装デザイン
内装は、施主である「株式会社三百苅管工」(石川県珠洲市)が自らデザインし施工したものである。被災者が生活再建のイメージを持てるよう、フローリングや壁紙を貼り、一般的な住宅に近い内装を意識した仕上がりとなっている。ベッドルームには、シングルベッド2台がゆとりをもって配置でき、リビングには珠洲の海を一望できる大きな窓が備えられている。また、独立したトイレとバスルームを完備し、玄関横にはウォークインタイプの収納スペースも設置されている。
被災地支援への思いから生まれたプラン変更
当初、施主である三百苅管工社とは2023年からグランピング施設「serendix10」の建設計画を進めていた。しかし、2024年1月に発生した能登半島地震により、プロジェクトの継続が危ぶまれる事態となった。そんな中、三百苅管工から「被災した地域の人々に、生活再建のイメージを抱いてもらうため、丈夫で安価に建設できる新しい住宅の形を示したい」という強い要望があり、計画を2人世帯向けの「serendix50」に変更することとなった。当社もその思いに共感し、長野県佐久市で予定していた株式会社カスケード東京(東京都港区)向けの第1号棟の建築計画を、同社の承認と協力のもと能登での着工に変更する決定に至った。
初の基礎部分への3Dプリンター活用と施工効率化
7月22日、水道などのインフラや施工スタッフの宿泊場所が整備されたことを受け、本体部分の施工が開始された。群馬県、愛知県、熊本県の3か所でパーツを製造し、出力テストも兼ねて各地で作成された部材をトラックで現地に輸送し、組み立て作業が進められた。今回は初めて基礎部分にも3Dプリンターによる部材を使用している。通常、基礎工事では職人が型枠を組み、そこにコンクリートを流し込むが、3Dプリンターで出力した型枠をそのまま基礎部分に一体化させて利用できるようになった。このように、3Dプリンターの活用範囲を拡大することで、自動化できる工程を増やし、さらなるコスト削減を目指している。
「notonowa(のとのわ)」での宿泊体験と見学会の実施
この建物は、ホテル「notonowa(のとのわ)」の1棟貸し客室として利用される予定である。金曜日には被災した地域住民向けに「無料宿泊体験」が実施され、日曜日の12:00~15:00には見学日が設けられる(要予約、2024年内まで実施予定)。また、月曜日から木曜日にかけては、この建物に関心を持つ一般の利用者が宿泊できるようになっている。
【見学や宿泊に関するお問い合わせ先】
「notonowa(のとのわ)」
TEL:0120-111-872(平日午前9時より午後5時まで)
所在地:石川県珠洲市上戸町南方井121-15
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