ロサンゼルス市に初めての3Dプリント住宅が建設される
アメリカのカリフォルニア州にあるウッドベリー大学の構内に、425平方フィート(約40平方メートル)の3Dプリント住宅が建設されたとロサンゼルス・タイムズが報じた。
「Solar Futures House」と名付けられた3Dプリント住宅はウッドベリー大学の建築学科の学生たちが設計し、3Dプリント技術を使ってコンクリートで建設された。ロサンゼルス市では居住用住宅として許可を受けた初めての3Dプリント住宅だという。建設期間は設計段階から数えて15か月だった。(上部画像は3Dプリント住宅建設の様子。出典:アメリカ合衆国エネルギー省のプロジェクト「Solar Decathlon」)
環境へ配慮した構造の3Dプリント住宅
ウッドベリー大学の構内に3Dプリント住宅「Solar Futures House」が建設されたのは、アメリカエネルギー省が主催する全国大学競技会である「Solar Decathlon」へのエントリーがきっかけとなった。
2022年の春、ウッドベリー大学の学生が設計提案書を提出し、最終候補の1つに選ばれた。その際に建設費として受け取った5万ドルの助成金を元手に建設計画が始まった。
3Dプリント住宅の構造は、効率性が重視されている。シャワーの水はトイレの洗浄に再循環される。家のカーブ形状と傾斜した屋根は、年間を通じて太陽の角度に対応するように設計されており、それによって太陽光発電の発電量が最大化される仕組みだ。現在、屋根には太陽光パネルをつなげた1つの太陽電池アレイが設置されている。太陽電池アレイによる発電で生活に必要な電力がまかなえるため、住宅に新たな電力供給は不要だという。
斜めの屋根は反射性の樹脂コーティングされた金属でできており、その上には9インチのミネラルウール断熱材を置く。これにより建物の内部温度を維持しつつ、外部からの騒音を和らげる。 ミネラルウール断熱材は防火壁としても機能する。
エネルギー消費量単位あたりの二酸化炭素排出量が多いコンクリートの使用を軽減するために、チームは強度と水密性に優れるフライアッシュの含有率の高いコンクリートを開発。ひび割れを起こしにくく耐久性の高いコンクリートで持続可能性の実現に貢献する。近い将来、この3Dプリント住宅は入居できる状態になるようだ。
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