V3D Asia、富士建と土木向け3Dコンクリートプリンター開発を本格化 九州で実証、NETIS登録目指す

2026年9月14日
土木3DCPによる現場施工のコンセプトイメージ(実機・実証現場の写真ではない。)(出典:V3D Asia 株式会社)
土木3DCPによる現場施工のコンセプトイメージ(実機・実証現場の写真ではない。)(出典:V3D Asia 株式会社)

V3D Asiaは、土木用途に特化した3Dコンクリートプリンター(3DCP)の開発を本格的に開始する。土木・技術パートナー第1号として、佐賀県佐賀市の特殊土木企業、富士建と連携する。

両社は、V3D Asiaが持つ3DCPのプリンター、材料、造形技術と、富士建が45年以上にわたり蓄積してきた特殊土木、建設機械、ロボティクス、現場施工の知見を組み合わせ、土木現場に適した3DCPの仕様や運用方法を検討する。

土木現場の条件を3DCPの仕様へ反映

3Dコンクリートプリンティングは、デジタル設計データに基づいてセメント系材料を積層し、構造物などを造形する技術である。

一方、土木工事では地形や気象、施工ヤード、機材の搬入・設置、材料供給、品質管理、周辺作業との干渉など、建築分野とは異なる条件への対応が必要になる。

今回の開発では、V3D Asiaがプリンター、材料、造形・制御などのコア技術と事業化を担当する。富士建は、土木現場の観点から施工性、安全性、現場適合性について知見を提供し、実証計画や要求仕様の策定に参画する。

富士建は1979年の創業以来、法面保護や地盤改良、安全施設、維持補修などの特殊土木を手がけてきた。また、建設機械の遠隔操縦やロボティクスに関する現場検証にも取り組んでいる。

こうした経験を生かし、法面、防災、維持補修などの施工条件を3DCPの機能や運用要件へ反映する。

九州で現場実証、NETIS登録を目指す

初期の実証は、佐賀県内をはじめとする九州の現場を中心に実施する予定である。

造形サイズや層厚、施工速度、機体の設置・移設性に加え、材料の混練、圧送、吐出、積層などの品質管理方法を検討する。また、機体設置や作業動線、異常停止後の再開手順、点検・保守など、現場での安全な運用方法についても評価する。

実証では、造形データや出来形、品質、作業時間、安全性、従来工法との比較などを記録し、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」への登録に向けた技術データとして整備する。

なお、今回の技術は現時点ではNETISに登録されておらず、今後の実証と性能確認を経て申請準備を進める段階である。

3DCPを「施工システム」として展開へ

V3D Asiaは、土木3DCPを単体のプリンターとしてではなく、デジタル設計、材料、造形、現場運用、安全・品質管理、施工記録までを含めた施工システムとして確立する方針である。

人が長時間立ち入りにくい現場や反復作業への自動化・遠隔化、施工プロセスのデジタル化による省人化なども視野に入れる。

今後は、富士建との実証を進めながら仕様を改善するとともに、工種や地域に応じて他の建設会社との連携も拡大する。公共工事を含む土木分野での3DCP実用化を目指す。

出典:V3D Asia 株式会社
出典:V3D Asia 株式会社

シェアラボ編集部コメント

建設3Dプリンティングでは住宅や建築物の事例が注目されやすいが、インフラ整備や防災、維持補修といった土木分野も重要な適用先である。

特に土木分野では、造形性能だけでなく、機材の搬入性や設置性、気象条件への対応、安全管理など、実際の施工現場で運用できるかどうかが普及を左右する。

今回の取り組みは、3DCPを開発するV3D Asiaと、特殊土木や建設機械の現場経験を持つ富士建が開発段階から連携する点が特徴だ。九州での実証を通じて、どのような工種で3DCPのメリットを具体化できるかが今後の注目点となる。

用語解説

3DCP3D Concrete Printing(3Dコンクリートプリンティング)の略。デジタル設計データをもとに、セメント系材料などをノズルから吐出し、層状に積み重ねて構造物や部材を造形する技術。
NETIS国土交通省が運用する「新技術情報提供システム」。民間企業などが開発した建設分野の新技術に関する情報を登録・公開し、公共工事などでの技術活用を促進する仕組み。
法面道路建設や造成などで地面を切削したり盛土したりした際にできる人工的な斜面。崩落や土砂流出を防ぐため、法面保護工事が行われる。
出来形建設工事で完成した構造物や施工部分の形状、寸法、高さなどが、設計図や仕様書の規定を満たしているかを確認するための施工結果。
ロボティクスロボットの設計、制御、運用などに関する技術分野。建設分野では、建設機械の自動化や遠隔操作、無人施工などに活用されている。

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