株式会社DigitalArchi(以下、DigitalArchi)は、建築向けコンクリート用樹脂型枠「デジタル型枠」の活用方法を紹介する出張型の社内勉強会を開始した。対象は建築設計事務所や意匠設計者、構造設計者、BIM・コンピューテーショナルデザインに携わる設計者で、同社代表が企業を訪問し、国内外の導入事例や技術概要、実案件への適用方法などを解説する。
近年、BIMや3Dモデリング、コンピューテーショナルデザインの普及により、建築設計で扱う形状は複雑化している。一方で、施工段階では型枠製作やコスト、工期などが制約となり、設計意図の実現が難しくなるケースも少なくない。DigitalArchiは3Dプリンターを活用した型枠製造によって、その課題解決を目指している。
目次
設計者向けに3Dプリント型枠の導入ノウハウを提供
今回開始された「デジタル型枠 社内勉強会」は、設計者が3Dプリント型枠を実際のプロジェクトに導入する際の検討ポイントを学ぶことを目的としている。
勉強会では、同社が手掛けた国内プロジェクトの事例に加え、海外建築プロジェクトでの3Dプリント型枠や建設用3Dプリンターの活用事例を紹介する。また、設計から型枠製造、施工支援までの導入プロセスについても解説される。
対象者は以下のような設計者である。
- 意匠設計者・構造設計者
- BIM、Rhino、Grasshopperなどを活用する設計者
- 曲面や自由形状、有機的なデザインを建築に取り入れたい設計者
- 特殊形状RCや変形スラブ、外構、什器、装飾部材の設計に関心を持つ設計者
- 意匠性と施工性、コストの両立を目指す設計者
曲面RCや特殊形状コンクリートへの適用事例を紹介
勉強会では、3Dプリント型枠の技術概要だけでなく、曲面RC、変形スラブ、特殊形状コンクリートへの適用可能性についても説明される。
さらに、在来型枠との組み合わせによる施工手法や、GRC部材、外構、什器、装飾部材への応用事例なども取り上げられる予定だ。
従来工法では製作負荷が高くなりがちな複雑形状について、どのように3Dプリント型枠を活用できるかを具体的な事例とともに学べる内容となっている。
実物サンプルを持参し施工イメージを共有
勉強会の特徴の一つが、実際に製作された型枠やコンクリートサンプルを確認できる点である。
参加者は、3Dプリンターによる造形精度や型枠の分割方法、積層痕の状態、打設後のコンクリート表面の仕上がりなどを実物で確認できる。
また、勉強会終了後には、自社案件への適用可能性について相談することも可能であり、過去に施工性やコスト面で断念したデザインについても意見交換が行える。
設計と施工のギャップ解消を目指す
DigitalArchiによると、近年の建築設計では自由曲面や非対称形状、構造最適化された造形など、デジタル技術を活用した高度なデザイン表現が広がっている。
しかし、実際の施工段階では型枠製作や施工管理の負担が大きく、設計段階の形状が変更されることも少なくない。
同社は、3Dプリント型枠を用いた「デジタル型枠」によって設計と施工の間に存在する課題を解決し、設計者の意図を建築物として実現するための選択肢を提供している。
今回の勉強会は、その活用方法や導入プロセスを実例ベースで学べる機会として位置付けられている。
編集部コメント
建築分野ではBIMやコンピューテーショナルデザインの普及によって、設計段階で扱える形状が飛躍的に複雑化している。一方で、施工現場では依然として型枠製作が大きな制約となっており、自由曲面や有機的なデザインの実現には高いコストと手間が伴う。
DigitalArchiが取り組む3Dプリント型枠は、こうした設計と施工のギャップを埋める技術の一つとして注目される。特に特殊形状のRC構造物や外構、建築装飾などでは、従来工法では難しかった造形表現の実現につながる可能性がある。
今回の勉強会は単なる技術紹介にとどまらず、実際の設計案件にどう組み込めるかを議論できる場となっており、建築設計のデジタル化を進める設計事務所にとって参考になる取り組みといえるだろう。
用語解説
| ■ BIM(Building Information Modeling) 建築物の形状情報に加え、材料や施工情報などを統合的に管理する設計手法。設計・施工・維持管理まで一貫したデータ活用が可能となる。 |
| ■ Grasshopper 3D CADソフトウェア「Rhino」上で動作するビジュアルプログラミングツール。複雑な曲面やパラメトリックデザインの設計に広く利用されている。 |
| ■ GRC(Glass Fiber Reinforced Concrete) ガラス繊維で補強したセメント系複合材料。軽量かつ高い成形自由度を持ち、建築外装パネルや装飾部材などに利用される。 |
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