山口大学医学部附属病院、病的頭蓋変形の術後治療に3D計測ベースのオーダーメイドヘルメットを導入

2026年6月5日
出典:ジャパン・メディカル・カンパニー
出典:ジャパン・メディカル・カンパニー

山口大学医学部附属病院脳神経外科において、病的頭蓋変形(頭蓋縫合早期癒合症など)の術後管理に、株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(以下、ジャパン・メディカル・カンパニー)の頭蓋矯正用ヘルメットが正式採用された。

今回導入されたヘルメットは、3Dスキャンなどを活用して患児ごとの頭蓋形状に合わせて製作されるオーダーメイド型である。病的頭蓋変形に対する内視鏡下縫合切除術後の頭部保護と頭蓋形状の管理を支援することを目的として運用される。

病的頭蓋変形の術後管理体制を強化

乳児の頭の変形には、向き癖などによる位置的頭蓋変形と、外科的治療を必要とする病的頭蓋変形が存在する。特に頭蓋縫合早期癒合症などの病的頭蓋変形では、適切な診断と治療に加え、術後の継続的な管理が重要となる。

病的頭蓋変形に対して外科手術が実施された場合、術後は創部を保護しながら、脳や頭蓋骨の成長に合わせて頭蓋形状を管理する必要がある。術後ヘルメット治療は、その管理手段の一つとして用いられている。

山口大学医学部附属病院ではこれまでも病的頭蓋変形に対する外科手術および術後管理を行ってきたが、今回の導入により、術後の頭部保護と形状管理を組み合わせた治療体制がさらに強化される。

3Dスキャンを活用したオーダーメイド設計

導入されたヘルメットは、3Dスキャンなどによる頭蓋計測データを基に設計・製作される。

患児ごとの頭蓋形状や成長状況に応じて個別設計されるため、術後の状態に配慮した運用が可能となる。また、装着期間中は定期的な診察や評価に合わせてヘルメットの調整が行われる。

ジャパン・メディカル・カンパニーでは、専門スタッフが医療機関と連携しながら治療をサポートする体制を整備しており、医師の指示に基づいてインナークッションの調整などを実施する。成長に伴う頭蓋形状の変化に対応しながら継続的なフォローを行うことで、術後管理を支援する仕組みとなっている。

高度医療機関における術後治療の選択肢として期待

山口大学医学部附属病院は754床を有し、30の診療科と24の診療施設を備える山口県唯一の特定機能病院である。

高度救命救急センターや総合周産期母子医療センターなどの機能を持ち、県内の高度医療の中核を担っている。

今回の導入により、病的頭蓋変形に対する外科手術後の頭部保護と頭蓋形状管理を両立する治療選択肢が整備された。手術から術後フォローまでを見据えた診療体制の充実につながる取り組みとして注目される。

また、本治療に携わる脳神経外科の野村貞宏診療教授および藤井奈津美助教は、一般社団法人日本ヘルメット治療評価認定機構が認定する「位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会」に参加しており、位置的頭蓋変形と病的頭蓋変形の鑑別評価やヘルメット治療の適正運用に関する知見を共有している。

編集部コメント

今回の事例は、3Dプリントそのものではなく、3Dスキャンによる形状取得とオーダーメイド製造技術が高度医療の現場で活用されている好例である。近年は患者ごとの身体形状に合わせたカスタムメイド医療機器の導入が進んでおり、義肢装具や歯科領域だけでなく、小児医療の分野でもデジタル技術の活用範囲が広がっている。3D計測とデジタル設計を活用した医療ソリューションは、今後も個別化医療を支える重要な技術領域の一つとなりそうだ。

用語解説

■ 頭蓋縫合早期癒合症 乳児の頭蓋骨同士をつなぐ縫合線が通常より早く癒合してしまう先天性疾患。頭蓋骨の正常な成長が妨げられることで頭部の変形が生じ、症状によっては外科手術が必要となる。
■ 3Dスキャン 対象物の形状を非接触で計測し、三次元データとして取得する技術。医療分野では患者ごとの身体形状を高精度に取得し、カスタムメイド機器の設計に利用される。
■ オーダーメイド医療機器 患者ごとの身体的特徴や治療目的に合わせて個別に設計・製造される医療機器。近年は3D計測やデジタル設計技術の進歩によって活用範囲が拡大している。

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