英国のロボティクス企業Rivelin Roboticsは、英国国防科学技術研究所(Dstl)の技術支援と英国防衛・安全保障アクセラレーター(DASA)の資金援助を受け、3Dプリント部品の後加工を自動化するマイクロファクトリー技術を実用化した。これまで熟練作業者による手作業に依存していた仕上げ工程をロボットで自動化することで、防衛分野におけるオンデマンド製造の実現を目指している。
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3Dプリント部品の後加工をロボットが自動化
積層造形(AM)で製造された部品は、造形後にサポート材の除去や表面仕上げなどの後加工が必要となる。しかし、この工程は時間がかかるうえ、作業品質が作業者の経験や技能に左右されやすいという課題があった。
Rivelin Roboticsは独自の制御技術を開発し、産業用ロボットに人間に近い認識能力と器用さを持たせることで、この課題を解決した。同社によれば、ロボットは従来の手作業よりも高速かつ高精度に仕上げ加工を行うことができるという。
また、金属、ポリマー、セラミックスなど複数の材料に対応し、複雑な形状の部品も処理可能としている。
防衛分野で期待されるオンデマンド製造
この技術は英国防衛省関連機関からも注目を集めている。
例えば海軍では、交換部品の調達に長期間を要したり、現地で加工する際に高額なコストが発生したりするケースがある。Rivelin Roboticsのマイクロファクトリーを活用すれば、必要な部品を必要な場所で製造・仕上げできるようになり、サプライチェーンへの依存を低減できる。
これにより、軍の運用継続能力の向上や部品供給の安定化に加え、コスト削減効果も期待されている。
DstlとDASAが技術開発を支援
Rivelin Roboticsの技術開発には、Dstlによる技術支援とDASAによる資金援助が大きく貢献した。
同社は現在までに5社へマイクロファクトリーを販売しており、航空宇宙、医療、自動車、エネルギー分野での導入実績を持つ。さらに近年は防衛分野への展開を進めており、スペイン、フランス、ドイツ、米国へと事業を拡大している。
英国政府としても、先進製造技術の国内育成と防衛産業基盤の強化を両立する事例として位置付けている。
編集部コメント
3Dプリンターの普及が進む一方で、後加工工程は依然として自動化が難しい領域とされてきた。特に金属AMでは造形時間そのものよりも後加工に多くの工数がかかるケースも珍しくない。Rivelin Roboticsの取り組みは、造形から仕上げまでを一体化した「自律型マイクロファクトリー」の実現に近づくものと言える。防衛用途だけでなく、航空宇宙や医療機器など少量多品種生産が求められる分野でも導入が進めば、AMの経済性向上に大きく貢献する可能性がある。
用語解説
| ■ マイクロファクトリー(Microfactory) 小規模な設備で製造工程を完結できる分散型生産システム。必要な場所で必要な数量だけ製造できるため、在庫や輸送コストの削減が期待される。 |
| ■ 後加工(Post-Processing) 3Dプリント後に行われる仕上げ工程の総称。サポート材除去、研磨、表面処理、熱処理などが含まれ、最終品質を左右する重要な工程である。 |
| ■ Dstl(Defence Science and Technology Laboratory) 英国国防省傘下の国防科学技術研究機関。防衛・安全保障分野の研究開発や技術評価を担い、産業界との連携も積極的に進めている。 |
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