新生キャデラック F1®チーム、3D Systems製SLA装置7台を導入 2026年F1参戦へ向け風洞試験と部品開発を加速

2026年5月28日
出典:3D Systems
出典:3D Systems

2026年からFIA Formula One® World Championship(FIA F1世界選手権)へ参戦する新生キャデラック F1®チームが、車両開発を加速するため、3D SystemsのSLA方式3Dプリンティングシステム7台を導入した。風洞試験用パーツおよび最終使用部品の製作体制を強化し、限られた準備期間の中で2026年シーズン開幕へ向けた開発を本格化させる。

導入されたのは、大型SLAシステムと「Accura® Xtreme White 200」「Accura Xtreme Black」「Accura HPC」などの高機能材料群である。これらは3D Systemsのソフトウェアと統合されており、高精度かつ短納期での試験部品製作を可能にする。

F1では、空力性能を追求するために大量の風洞試験が行われる。特に新規参戦チームにとっては、車両設計と認証作業を短期間で並行して進める必要があり、部品製造スピードが競争力に直結する。今回の導入により、キャデラック F1®チームは金型レスで迅速な試作・検証サイクルを構築し、開発効率を高める狙いだ。

3D SystemsのSLA技術は、シャープなエッジ表現や微細ディテール、滑らかな表面品質を特徴としており、風洞試験モデルに求められる高い寸法精度と表面再現性に対応する。従来工法と比較してリードタイムを数週間単位で短縮できる点も大きなメリットとなる。

FIA F1世界選手権は、『Racecar Engineering』誌が「機械部品メーカーにとって最大級の挑戦」と評するほど、高度な技術競争が行われるカテゴリーである。キャデラック F1®チームは、2026年3月開催予定の「FORMULA 1 QATAR AIRWAYS AUSTRALIAN GRAND PRIX 2026」への参戦を目指し、開発を急ピッチで進めている。

今回のプロジェクトでは、3D Systemsの「Application Innovation Group(AIG)」も支援を実施した。AIGは、AMエンジニアや設計者、技術者で構成される専門チームであり、顧客企業と共同で製造プロセスの最適化を進めている。

3D Systems セールス担当上級副社長のElvis Perez氏は、「3D Systemsは創業以来、高精度かつ再現性の高い量産用途向けAM技術の発展に取り組んできた」とコメント。「キャデラック F1®チームが、厳しいスケジュールと参戦条件の中で2026年シーズンへの参戦を実現したことを大変うれしく思う」と述べた。

近年のFormula Oneでは、車両開発サイクルの高速化が進んでおり、アディティブマニュファクチャリング技術の活用は不可欠になりつつある。今回の採用事例は、AM技術がモータースポーツ開発の中核技術として存在感を高めていることを示している。

編集部コメント

F1は“速く走る”だけではなく、“速く開発する”競技でもある。特に新規参戦チームは、限られた期間で膨大な試験と設計変更を繰り返さなければならない。今回のキャデラック F1®チームによるSLA装置大量導入は、AM技術が単なる試作ではなく、開発スピードそのものを支えるインフラになっていることを象徴する動きといえる。モータースポーツ分野は、今後も産業用3Dプリンティング技術の実験場として重要性を増していきそうだ。

用語解説

■ SLA(Stereolithography Apparatus)
紫外線レーザーで液体樹脂を硬化させながら造形する3Dプリント方式。高精度かつ滑らかな表面品質を得やすく、試作や風洞試験モデル、デザイン検証などで広く利用されている。
■ 風洞試験
空気の流れを人工的に再現し、車両や航空機の空力性能を検証する試験。F1ではダウンフォースや空気抵抗の最適化に不可欠であり、高精度な模型製作が求められる。
■ アディティブマニュファクチャリング(AM)
材料を積み重ねて立体物を製造する加工技術の総称。3Dプリンティングとも呼ばれ、従来工法では難しい複雑形状や短納期製造に対応できる。

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