株式会社DigitalArchi(以下、DigitalArchi)は、旭ビルウォール株式会社(以下、旭ビルウォール)(AGB)が進めるGRC(ガラス繊維補強コンクリート)製3次元形状オブジェの製造プロジェクトにおいて、3Dプリント樹脂製型枠を提供したと発表した。建築分野で求められる複雑形状への対応力向上を目的に、GRCと3Dプリント型枠を組み合わせた実用検証が進められている。
目次
GRCの複雑形状製造に3Dプリント型枠を導入
AGBはこれまで、GRCの特性を活かし、高い意匠性を持つ建築案件を数多く手掛けてきた。一方で、自由曲面やねじれ構造など、より複雑な造形への対応を見据え、新たな型枠製造技術の探索を進めていた。
その中で、形状自由度と製造効率を両立できるDigitalArchiの3Dプリント型枠技術に着目し、本プロジェクトが始動した。
今回製作されたのは、太さを変化させながらねじれていく柱状の3次元オブジェである。GRCと3Dプリント双方の特性を活かせるデザインとして採用された。
型枠転用や積層痕対策など実用面を検証
GRCはガラス繊維で補強されたセメント系材料であり、一般的なコンクリートと比較して薄肉かつ複雑形状の成形に適している。一方、3Dプリント型枠は自由曲面や特殊形状をデジタルデータから直接製造できるため、従来工法では難しかった造形への対応が可能となる。
プロジェクトでは、4パーツ構成の型枠を基本設計とし、テストプリントや後加工の検証を3回繰り返しながらデータを最適化した。また、型枠を転用可能な仕様とすることで、GRCの配合や打設方法の検証も継続的に実施できる体制を構築した。
実際には5回以上の型枠転用が行われ、積層痕を抑えるシート材やジョイント部のノロ止めテープなど、副資材についても実験と改良が重ねられている。






実案件への適用に向け課題を整理
さらに、デザイン、型枠設計、3Dプリント、打設、脱型までの各工程を共有することで、実案件への適用に向けた課題整理も進められた。
積層痕が仕上がりへ与える影響や、型枠組立時の位置決め精度、ジョイント部の隙間対策などが具体的な検証項目として挙げられている。
DigitalArchiは慶應義塾大学発のスタートアップで、「建築の『つくる』をつくる。」を掲げ、建設分野における3Dプリンタ技術の活用を推進している。建築、プラスチック材料、資源循環など多分野の知見を融合し、新たな建築生産技術の開発に取り組んでいる。
今回の取り組みは、建築用GRC製品と3Dプリント型枠の組み合わせによる新たな施工手法として、今後の大型建築や意匠建材分野への応用拡大が注目される。
編集部コメント
建築分野では近年、3Dプリンティング技術を活用した型枠製造への関心が高まっている。特にGRCのような自由度の高い材料と組み合わせることで、従来工法ではコストや工期の面で難しかった複雑形状への対応が現実味を帯びてきた。今回の事例は単なる試作品ではなく、型枠転用や施工精度、副資材まで含めた実用検証が行われている点が特徴であり、建築生産プロセスそのもののデジタル化を感じさせる取り組みである。
用語解説
| ■ GRC(ガラス繊維補強コンクリート) セメント材料にガラス繊維を混ぜ込むことで強度を高めた複合材料。軽量かつ薄肉で複雑な形状を実現しやすく、建築外装や装飾部材などで利用されている。 |
| ■ 3Dプリント型枠 3Dプリンターを用いて製造される型枠。従来工法では難しい自由曲面や複雑形状をデジタルデータから直接造形できるため、建築や土木分野で活用が広がっている。 |
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