セレンディクス株式会社(以下、セレンディクス)は、建設用3Dプリンターで造形した独自設計の構造体と特殊な処理を施した素材を対象に、飛翔体を高速で衝突させる耐衝撃実験を実施した。構造形状や素材処理による耐衝撃性能の違いを比較・検証するとともに、その様子を収めた実験動画も公開している。
目次
構造や素材の違いによる耐衝撃性能を比較検証
今回の実験では、建設用3Dプリンターで造形した複数の構造体と、異なる処理を施した素材に対して金属製の飛翔体を高速で衝突させ、耐衝撃性能を比較した。
検証の結果、構造形状や素材への処理方法によって耐久性に明確な差が確認されたという。同社は、高い防護性能が求められる構造物の研究開発に向けた有用なデータを取得したとしている。
Farnborough International Airshow 2026へ出展
セレンディクスは、2026年7月20日から24日までイギリスで開催される世界最大級の航空宇宙・防衛産業展示会「Farnborough International Airshow 2026」に、防衛装備庁ブース内で出展する。
会場では、今回の実験成果を活用した「3Dコンクリートプリンティング製防爆シェルター」と「ドローン基地」を展示する予定だ。防衛装備庁ブースは、日本の防衛装備品や技術力を海外へ発信することを目的として設置される。

防災・復興分野への活用も視野
Co-founder兼CTOの飯田國大氏は、3Dプリンター建築は曲面や複雑な壁面を自由に造形できることに加え、用途に応じて壁数や構造を変更できることが大きな特徴であると説明する。
同社は、用途に応じて躯体の壁数や構造を最適化する3Dコンクリートプリンティング技術について特許を出願しており、二重・三重構造の壁やリブを活用した多層構造、素材処理を組み合わせることで耐衝撃性や防護性能の向上を目指している。
今回の実験で構造形状や素材処理による性能差が確認できたことは、防爆シェルターやドローン基地だけでなく、公共インフラ、災害対応施設、復興住宅などへの応用可能性を広げる重要な知見になったとしている。
また、3Dプリンター建築は破損部材のデータ取得や再製造が容易であることから、災害や有事における迅速な復旧・再建への活用も期待される。
ウクライナ復興支援も推進
セレンディクスは現在、現地企業と連携しながらウクライナで3Dプリンター建築による復興支援プロジェクトを進めている。今回得られた知見を復興住宅をはじめとする建築物の安全性向上へ生かし、安全で手頃な住まいの提供につなげていく考えだ。
同社は日本初の3Dプリンター住宅メーカーとして、2022年に「serendix10」、2024年には石川県珠洲市で復興住宅モデルとなる「serendix50」を建設したほか、2025年にはJR西日本グループとの資本業務提携を通じて駅舎建設にも取り組むなど、住宅以外への活用も進めている。
シェアラボ編集部コメント
今回の実験は、3Dコンクリートプリンティングを住宅だけでなく、防爆シェルターやドローン基地など防護性能が求められる分野へ展開するための基礎データを取得する取り組みである。3Dプリンター建築は自由度の高い形状設計に加え、破損部材の再製造や設計変更にも対応しやすいことから、防災や復興分野での活用にも期待が集まる。今後は実証データの蓄積と実用化に向けた展開に注目したい。
用語解説
| ■ 3Dコンクリートプリンティング 建設用3Dプリンターを用いて、コンクリート材料を積層しながら建物や構造物を造形する製造技術。型枠を必要とせず、複雑な形状も施工できることが特徴である。 |
| ■ 防爆シェルター 爆風や飛散物などから人や設備を保護することを目的とした構造物。高い耐衝撃性能が求められ、防衛や重要インフラ、防災分野などで活用が検討されている。 |
| ■ リブ構造 板状の部材に補強用の突起(リブ)を設ける構造設計。重量を大きく増やさずに強度や剛性を高めることができ、3Dプリント構造物でも広く利用されている。 |
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