アネスト岩田、金属3Dプリンターなどを備えた新生産技術拠点「MIC」を横浜本社に開設

2026年7月9日
MICの外観(出典:アネスト岩田)
MICの外観(出典:アネスト岩田)

アネスト岩田株式会社は2026年6月26日、横浜市の本社敷地内に新たな生産技術開発拠点「Manufacturing Innovation Center(MIC)」を開設した。生産性向上や製品開発力の強化に加え、社内外とのオープンイノベーションを推進する拠点として運用を開始する。

開発から量産までを見据えた生産技術開発拠点

MICは、モノづくりに関する研究開発と、新製品に最適な生産工程の開発を担う生産技術開発センターである。加工シミュレーションによる試作検証から量産移行までを一貫して行うことで、開発初期から量産性を考慮した工程設計を実現する。

また、CAMデータを活用した加工プログラムの作成、試作加工、精密測定、検証までを社内で完結できる体制を整備。外部委託工程や試作の手戻りを減らし、開発スピードの向上とコスト効率化を目指す。

金属3DプリンターやCT測定機など最新設備を導入

施設内には、金属3Dプリンター、5軸マシニングセンタ、CT測定機などを導入した。

CT測定機は、部品を分解することなく内部構造をミクロン単位で可視化でき、外観からは確認できない内部形状や加工精度、欠陥の有無を評価できる。

さらに、金属3Dプリンターと5軸マシニングセンタを組み合わせることで、従来は加工が難しかった複雑形状の部品製作にも対応する。試作期間の短縮と高い加工精度を両立し、新製品開発や新たな製造工程の構築を支援する。

マシニングセンタのイメージ(出典:アネスト岩田)
マシニングセンタのイメージ(出典:アネスト岩田)
CT測定機を使用した分析(出典:アネスト岩田)
CT測定機を使用した分析(出典:アネスト岩田)

量産工場への展開と安定した生産体制を構築

MICで作成した加工プログラムや機械設定は、秋田工場や福島工場などの量産拠点への展開を想定している。開発段階で得られた知見を量産工程へスムーズに反映することで、開発初期から量産性を考慮したモノづくりを可能にする。

また、外部委託費の削減や部品手配・調整に伴う業務負荷の軽減、開発期間の短縮、生産性向上にもつながるという。加えて、生産工程の内製化を進めることで、海外調達品への依存や為替変動による調達コストの影響を受けにくい生産体制の構築を目指す。

グローバル生産を支える中核拠点へ

MICは、生産技術の研究開発拠点にとどまらず、アネスト岩田の世界各地の生産拠点を支える中核施設として位置付けられている。

同センターで確立した生産技術や製造ノウハウを世界の拠点へ展開し、高水準かつ均一な品質を実現するグローバル生産体制の構築を推進する。

また、技術者や開発者が組織の枠を超えて集まり、議論や実証を行う場としても活用し、オープンイノベーションを通じた新たな製造技術の創出を目指すとしている。

シェアラボ編集部コメント

製造業では、製品設計と生産技術を並行して進める「フロントローディング」の重要性が高まっている。MICはその考え方を具現化する施設であり、金属3Dプリンターや5軸加工機、CT測定機を組み合わせることで、設計・試作・検証・量産準備までを一貫して進められる体制を整えた点が特徴である。特に金属3Dプリンターは、複雑形状部品の試作だけでなく、新たな加工方法の検証にも活用されることから、今後の製品開発や生産技術の高度化に与える影響が注目される。

用語解説

■ 金属3Dプリンター
金属粉末や金属ワイヤーを積層して部品を製造する3Dプリンター。従来加工では難しい複雑形状や軽量構造を製作でき、試作から最終部品まで幅広く利用されている。
■ 5軸マシニングセンタ
工具や工作物を5つの軸で同時に制御しながら切削加工を行う工作機械。複雑な形状でも高精度かつ少ない段取りで加工できるため、航空宇宙や精密機器などで広く利用される。
■ CT測定機
X線CT技術を用いて部品の内部構造を非破壊で測定・解析する装置。内部の寸法や欠陥、肉厚などを分解せずに確認でき、品質保証や試作品評価に活用される。

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