兵庫県神戸市須磨区の「のぶ歯科・歯ならび歯科」は2026年7月より、3Dプリンターとフェイススキャナーを活用した自由診療の義歯サービス「エマージェンシーデンチャー」の本格提供を開始する。
従来の入れ歯製作では、抜歯後の歯肉の治癒を待ってから型取りや試適などを行うため、完成まで約3か月を要していた。同サービスでは、デジタル技術を活用することで、最短1週間での提供を可能にした。
対象となるのは、突然歯を失った人や義歯の完成まで歯のない期間をできるだけ短くしたい人など、短期間で義歯を必要とするケースである。
目次
フェイススキャナーと院内3Dプリントで製作工程を効率化
サービスでは、口腔内の模型データとフェイススキャナーで取得した顔全体のデータを組み合わせ、コンピューター上で噛み合わせをシミュレーションする。
このデジタル設計によって、従来必要だったワックスによる試適工程を省略し、通院回数と製作期間を削減している。
義歯の製作にはShining 3D製の「AccuFab-F1」を使用。設計から3Dプリント、仕上げまでを院内で完結できる体制を整え、外部技工所とのやり取りによる時間的ロスを抑えている。
また、年間約2,000床の義歯を製作してきた歯科技工士の経験をデジタル設計に反映することで、短期間でも精度の高い義歯の提供を目指すとしている。

装着後も継続的に調整し、本義歯製作にもデータを活用
エマージェンシーデンチャーは抜歯後すぐに装着し、その後約6か月間にわたり歯肉の変化に合わせて定期的な調整を実施する。
歯肉の状態が安定した後は、そのまま使用を継続することも、本義歯を新たに製作することも可能である。本義歯を製作する際には、エマージェンシーデンチャーで取得したデータを活用できるため、より高精度な義歯製作につながるという。
料金は納期に応じた「時間チャージ制」を採用しており、片顎の場合は1か月で33万円(税込)、2週間で44万円(税込)、最短1週間では55万円(税込)。上下顎では66万円(税込)から110万円(税込)となる。


シェアラボ編集部コメント
歯科分野では近年、3Dプリンターを活用したデジタルデンティストリーの導入が急速に進んでいる。今回の取り組みは、3Dプリンターによる造形だけでなく、フェイススキャナーやデジタル設計、院内製造を組み合わせることで、患者が抱える「治療までの待ち時間」という課題の解決を目指した事例といえる。
用語解説
| ■ フェイススキャナー 顔全体の形状を3Dデータとして取得する装置。歯列データと組み合わせることで、顔貌に合わせた噛み合わせや義歯の設計に活用される。 |
| ■ デジタルデンティストリー 口腔内スキャナーやCAD/CAM、3Dプリンターなどのデジタル技術を活用して歯科治療や補綴物の設計・製作を行う診療手法の総称。 |
| ■ AccuFab-F1 Shining 3Dが開発した歯科用途向けの高精度光造形3Dプリンター。義歯や歯科模型、サージカルガイドなどの製作に対応している。 |
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