3Dプリントベーコン、スペインのスーパーマーケットで販売開始
スペインのスーパーマーケットチェーン「Mercadona」で、スタートアップ企業Cocuus社が開発した3Dプリント技術で製造された植物性ベーコンの販売が始まった。3Dプリント食品が実際に一般の生活者が購入できる実店舗で販売され始めた画期的な事例だといえるだろう。(上部画像は3Dプリントされたベーコン。出典:Cocuus社)
スペインのスタートアップCocuus社が製造
2015年に設立されたフードテックスタートアップのCocuus社は、3Dプリンタや食品製造装置を自社開発している。同社の3Dプリンターはチョコレートからパスタまでさまざまな食材のプリントが可能なのが特徴で、今回の3DプリントベーコンもCocuus社のフード3Dプリンターで製造されている。
原料は植物由来
3Dプリントベーコンは、大豆やココナッツオイル、スターチなどを原料としている。製法として脂肪とひき肉の部分を1mm単位で精密に形成し、オーブンで加熱調理している。健康志向の人にも訴求力が高い。
コレステロールがほぼ0で、カロリーも約40%カットされている他、動物性たんぱく質を避けるベジタリアンからの支持が見込め、欧州の消費者に人気を博す可能性もある。
通常のベーコンは豚を屠殺しなければならず、食肉処理場からの温室効果ガスの排出も避けられない。一方、3Dプリントベーコンの製造は植物性原料を使うことでカーボンニュートラルに近い製法で製造可能だ。製造時の環境負荷が低い点は今後ますます評価されるだろう。
もっとも大きな普及の課題となるのはコスト面で、3Dプリンターの特徴である量産効果が低い点をどのように克服するかは大きな課題だ。ただ、ベジタリアンやダイエッター、環境意識の高い生活者など、一定の消費層に訴求できるコンセプトを秘めている商品だ。
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