株式会社Magic Shields(マジックシールズ)[静岡県浜松市、以下、Magic Shields]は、2025年5月8日(木)〜10日(土)にかけて開催された「SusHi Tech Tokyo 2025」において、転倒時の強い衝撃に対してのみ柔軟性を発揮する新素材を用いた次世代型衝撃吸収マット「ころやわ」を出展した。本製品は、平常時は適度な硬さを維持しつつ、転倒時には瞬時に衝撃を緩和する特性を持ち、転倒による骨折リスクの軽減を目的として開発されたものである。(上部画像はMagic Shieldsのプレスリリースより。出典:Magic Shields)
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忍者ガールズの実演で注目集めた衝撃吸収マット「ころやわ」
会場では、「転んだときだけ柔らかくなる」という製品の特性を表現するため、忍者ガールズによるダンスパフォーマンスが披露された。演目には実際に転倒する動きを取り入れ、観客に衝撃吸収機能の有用性を視覚的に訴える内容となっており、大きな注目を集めた。多くの来場者からの要望を受け、このダンスパフォーマンスの模様はYouTube上でも公開されている。
3Dプリンター×忍者技術
「ころやわ」は、3Dプリンターを用いて700通りを超える試作を経て完成した「メカニカル・メタマテリアル」である。本製品は、高齢者の転倒による骨折や外傷を防止することを目的としており、健康寿命の短縮という世界的な社会課題に対する革新的な解決策として位置づけられている。
本製品には、日本の伝統文化に根差した技術として、忍者が沼地を移動する際に用いたとされる秘術「水蜘蛛(みずぐも)」の原理を応用した「NINJA TECH」が搭載されている。

メカニカル・メタマテリアル
メカニカル・メタマテリアルとは、素材そのものではなく「構造」によって特異な力学特性を実現する人工的な構造体である。素材が同じでも、内部構造を工夫することで、柔らかさや硬さ、衝撃吸収性などを自在に設計できる点が特徴だ。特に3Dプリンターとの相性がよく、複雑な内部構造も精密に再現できるため、次世代の衝撃吸収材や医療機器などへの応用が進んでいる。「ころやわ」もこの技術を活かし、転倒時だけ柔らかくなる性質を実現している。
年間数千億円の損失を防ぐ
転倒による骨折は、寝たきり状態や認知症、さらには要介護状態へとつながる深刻なリスクである。日本国内では年間およそ100万人、世界では約2,000万人が転倒による骨折を経験しており、2000年から2020年の20年間でその件数は約2倍に増加していると報告されている。
「ころやわ」を活用することで、こうした転倒骨折のリスクを大幅に軽減することが可能である。転倒に起因する医療費および介護費は、日本国内で年間約2兆円、アメリカにおいては約7兆円にも上るとされ、転倒予防策の導入は社会全体にとって極めて重要な意義を持つ。
2024年にはセンサーを内蔵したモデルの販売も開始されており、衝撃を緩和するだけでなく、転倒そのものの予兆を捉えて未然に防ぐ機能も備えている。この技術は、家庭内をはじめ、高齢者施設、保育施設、病院といった転倒リスクの高い現場において、極めて有効なソリューションとして注目されている。
Magic Shieldsについて
Magic Shieldsは2019年に設立されたスタートアップ企業であり、自動車工学と医学を基盤として、新素材および構造体「メカニカル・メタマテリアル」の研究開発ならびに製造・販売を手がけている。
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