3Dプリンター製ソフトロボット、任天堂『スーパーマリオブラザーズ』に挑む
米メリーランド大学の研究者チームが、人気ゲーム『スーパーマリオブラザーズ』をプレイするソフトロボットを3Dプリンターで制作した。この研究は、米科学雑誌の表紙を飾るほどの注目を集めている。(画像は、A. James Clark School of Engineering 公式チャンネル内動画、Robotic Hand Has Knack for Video Gamesより引用)
3Dプリンター製ソフトロボットの研究について
概要
同大学のニュースレターによると、今回の研究は「ソフトロボティクス」として知られる分野とのこと。同ソフトロボットについては、「柔軟性と膨張性をもつ新しいタイプのロボットで、電気ではなく水、または空気を使って動力を供給する」ものだという。
研究チームを率いるRyan D. Sochol准教授は、「ここ10年ほどの傾向として、『ターミネーター』や『スター・ウォーズ』のC-3POのようなメカニカルなものとは違う、『ベイマックス』のようなソフトロボットの開発が進んでいる」と述べた。
実験にあたって、同大学研究チームは『スーパーマリオブラザーズ』をプレイするための、制御圧力の強さに応じて指を操作できる流体回路を設計した。低圧をかけるとマリオが歩き出し、高圧をかけると走りながらジャンプする仕組みだ。圧力を自動操作するプログラムを設定してプレイさせたところ、最初のステージを90秒以下でクリアすることができたという。
何が革新的なのか?
以前は、ソフトロボットにおいて各指をそれぞれ動かすには、実用性を損なうような制御ラインしかなかった。
しかし「統合された流体回路」によって、1つの圧力入力で複数の操作が可能となったようだ。また、本来これらの流体回路をロボットと統合するには、高度なスキルと多くの時間を要したが、3Dプリンターの活用によってわずか1日で完成させることができたのだという。
使用されている3Dプリンター技術について
前述の流体回路とロボットの統合に使われたのが、「PolyJet 3D Printing」だ。
同技術は、Stratasys社が特許を取得した高性能のプリンティング方式であり、インクではなく液体樹脂の小さな液滴を噴射しつつ造形する技術だ。0.1mmの高い精度で14μmの層を作成し、滑らかなサーフェイス、薄壁、複雑な形状を実現するという特徴を持つ。詳細は、Stratasys社の動画が分かりやすく日本語でも閲覧できるため、興味のある方はぜひご覧いただきたい。
(Stratasys Japan 公式チャンネルより引用)
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