2025年9月、3Dプリンターを活用した次世代教育環境が始動。東急株式会社(東京都渋谷区、以下、東急)と特定非営利活動法人VIVITA JAPAN(東京都渋谷区、以下、VIVITA JAPAN)が、渋谷区の新たな教育プロジェクト「未来共創空間」のコーディネートおよび運営を共同で担うことが決定した。場所は、2025年9月に開校予定の仮設校舎「青山キャンパス」内である。(上部画像は東急のニュースリリースより。出典:東急)
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公立小中学校における次世代3Dプリンターを核にした「未来共創空間」
渋谷区は学校施設の老朽化対応だけでなく、これからの時代に求められる教育の形を見据えた取り組みを推進している。「未来共創空間」はその象徴的なプロジェクトであり、公立小中学校における先進的な学びの実践拠点となる。
本施設には3Dプリンターをはじめとしたデジタル工作機器や最新テクノロジー機器が導入される予定だ。児童・生徒は地域企業との連携プログラムを通じ、ものづくりやプログラミング、映像・音楽制作に挑戦することができる。自らのアイデアを具体的な形に落とし込む経験を積むことで、創造性や探究心、協働力を育む狙いがある。
実証プログラムの知見を活かし多彩な共創型ワークショップを展開
東急とVIVITA JAPANは、2019年から子どもたちの創造性を引き出す実証プログラムを共同で展開してきた。今回の「未来共創空間」では、両者が蓄積してきたノウハウとネットワークを活かし、連携企業の技術や機材を教育の現場に取り込む。例えば、まちの魅力を発信する映像・音楽制作や、地域課題をテーマとしたプログラミング演習など、多彩なワークショップやイベントが計画されている。
デジタルファブとAI社会をつなぐ「未来共創空間」
VIVITA JAPANは、これまで子どもたちのための創造活動拠点「VIVISTOP」を展開し、8年間にわたりクリエイティブ教育を実践。一方の東急は「子育て・学生応援 東急スクラムプロジェクト」を通じて、地域と連動した教育・まちづくりに力を注いできた。デジタルファブリケーションやプログラミングといった技術が社会のあらゆる分野で重要性を増す中、特にAIが浸透するこれからの時代には、創造性や問題解決力を備えた人材の育成が不可欠となる。両者の知見が結集する「未来共創空間」は、そうした時代的要請に応える人材育成のモデルケースとなるだろう。
加えて3Dプリンターを中心としたデジタル工作環境が、公立学校の中で常設されることは日本でも先進的な事例である。渋谷区が描く「未来の学びのかたち」は、今後の教育現場におけるデジタルファブリケーションの普及に大きな影響を与えると考えられる。
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