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NASAの火星移住計画には3Dプリンター住居が!独創的なその仕組みと設計に迫る

米NASA(アメリカ航空宇宙局)が進める火星移住計画の前準備として、火星環境を模した居住実験が行われる。居住施設の建設には、火星の土を原材料に用いる建設用3Dプリンター「Vulcan」(ヴァルカン)が用いられた。

火星の住居は3Dプリンター製?

ICONによる火星移住プロジェクト用3Dプリンター住居の完成イメージ(出典:ICON)

NASAが、火星への移住計画を進めている。2022年秋にスタートする CHEPEA(Crew Health and Performance Exploration Analog:乗組員の健康及びパフォーマンス探査研究)に向け、2021年8月6日から希望者の募集を始めた。締め切りは同年9月17日。夢物語と思われてきた火星移住計画がいよいよ現実味を帯びてきた。

実験参加者は4人。米テキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センター内にある仮想火星居住環境 “Mars Dune Alpha” で1年間活動する。

Mars Dune Alphaのレイアウト(出典:ICON)

注目したいのは、居住施設である “Mars Dune Alpha” の建設方法だ。本施設は建設用3Dプリンター「Vulcan」を使って建築している。

3Dプリンターを用いる主な理由は、ロケットの軽量化である。建設用資材を逐一地球から打ち上げていてはコストが膨大になるが、3Dプリンターで現地(火星)の原料を加工すれば、打ち上げに必要な資材は少量で済む。NASAは将来の宇宙開発において、3Dプリンターを用いた建設が一般的になると考えている。

火星住居建設用3Dプリンターの特徴

建設を請け負ったのは、建設用3Dプリント専門企業の ICON である。火星の土と水、何種類かの薬剤を混ぜることで “lavacrete” というセメントを作り出し、建材とする。火星表面では激しい温度の変化(マイナス140℃から20℃)と強烈な放射線(地球の5000倍)に晒されるが、それらに耐え得る住居が建設できると言われている。

建設中のMars Dune Alpha(出典:ICON)

“Mars Dune Alpha” は1700 平方フィート(約 158 平方メートル)の面積に、各自の個室、キッチン、浴室、作業エリア、医務室、フィットネスエリア、娯楽室、穀物栽培エリアなどを備える。ここでは限られた資源での生活が求められ、通信の遅延や機器の故障など環境的ストレスを経験できるよう疑似体験用施設として設計されている。

3Dプリンター住居が作られる動画

NASAの火星移住計画に用いられるシミュレーション用3Dプリンター住居が作られる模様が ICON の YouTube チャンネルで公開されているので、是非ご覧いただきたい。

ICON CEOのコメント

最後に、ICON 創業者で CEO の Jason Ballar 氏による “Mars Dune Alpha” についてのコメントを紹介する。

これは人類史上、(設計図面を)もっとも忠実に再現した住居です。Mars Dune Alpha は非常に特殊な目的のために作られました。それは、人間が別の惑星で大変長い期間居住するための準備をすることです。私たちは、居住地を(地球以外の)星に拡大するという使命を支援するため、(火星に建造予定の住居と)可能な限り同一の住居を作りたかったのです。

ICON CEO Jason Ballar 氏

住居の信頼性や、正確性に大きな自信を持っていることが伺える。

NASAが2024年の達成を目標に取り組んでいるプロジェクトが、有人月面着陸計画「アルテミス計画」だ。NASAは本プロジェクトの成功を足がかりに、その先の火星到達を目指したい考えだ。

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関する情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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