樹脂・金属以外の材料の3Dプリンター | 材料から選ぶ3Dプリンター
3Dプリンターというと、金属や樹脂を材料としたものが広く知られていますが、なかにはそれ以外の材料を用いて造形を行うものもあります。金属や樹脂に比べ、対応している造形方式や材料の種類は多くありませんが、従来の製造法では実現できなかった部品の製造を実現可能です。この記事では、樹脂・金属以外を材料とした3Dプリンターに対して、対応している造形方式と材料、それぞれの特徴について解説します。
樹脂・金属以外の材料の種類
樹脂・金属以外の材料 (2種類)
(セラミックス[⽯膏]/ 砂)
3Dプリンターで用いられる樹脂や金属以外の材料の中で、主にセラミックスと砂の2種類について紹介します。他にも、造形方式や設備によっては、紙やシリコンに対応可能な場合もあります。 セラミックスは石膏ともよばれ、無機物を固めた焼き固めたものをさします。耐熱性、絶縁性、耐摩耗性などに優れていますが、焼結時の縮みが課題となる材料でした。近年は、縮みを抑えられるセラミックス材料の開発が進んでおり、先端産業を始め、多くの産業に適用されています。 また、3Dプリンターで砂を選ぶ場合には、主に鋳造用の型を製造するため、どんな砂でもいいわけではありません。砂型に用いることができるような、粒度の細かい砂がが必要です。近年は、造形スピードを向上するために、流動性がよく後処理の時間を短縮できる乾いた砂の開発も進められています。
それぞれの材料に関して「3Dプリンターの材料(金属・その他)」で詳しく説明しています。
>> 「3Dプリンターの材料 金属・その他」を読む
造形方式とその特徴
ここでは、セラミックスや砂が主な材料として用いられる造形方式について紹介します。主に熱可塑性樹脂との組み合わせで用いるのが一般的です。 設備によっては、ここで紹介しない造形方式でこれらの材料が使われることもあります。他の造形方式でセラミックスや砂を使用したい場合には、詳細を設備メーカーに確認するといいでしょう。
①MEX(Material Extrusion/材料押出方式)
扱う材料
セラミックス
特徴
MEXは溶融した材料をノズルから押し出しながら積層させ、成形していく造形方式です。金属や樹脂を材料とするのが一般的ですが、セラミックスを材料とする場合もあります。
セラミックス材料は単体では造形できないため、溶融された熱可塑性樹脂とともに押出され、固化することで造形されます。造形後には、造形する際に使用した熱可塑性樹脂を除去するために焼結工程が必要です。この工程は金属材料を用いる場合と同様です。
MEXは、造形時間が比較的短く、設備もそれほど効果でない点がメリットとして挙げられますが、熱可塑性樹脂などの材料が必要であり、焼結工程が必要な点がデメリットとなります。
セラミックス材料を用いる際にMEXを選択することはあまりなく、同様のメリットデメリットを持ったBJTを選択するのが一般的です。
>> MEX(材料押出方式)の詳細はこちら
②BJT(Binder Jetting/結合剤噴射)
扱う材料
セラミックス、砂
特徴
BJTは材料となるセラミックスや砂などの粉末を敷き詰め、造形が必要な部分にだけ結合剤となる熱可塑性樹脂などを溶融・噴射することで造形します。造形後には、結合剤として用いた熱可塑性樹脂を蒸発させるために、焼結処理が必要です。3Dプリンターでセラミックスや砂を用いる場合には、このBJTが一般的な造形方式です。
比較的短時間で造形できる点はメリットですが、結合剤の準備が必要であり、焼結させることで造形品が縮んでしまう可能性があります。そのため高い寸法精度を確保するよう、課題を解消するような材料の開発が進んでいます。
セラミックスは強度が必要なさまざまな部品に使用されており、砂は鋳造用の砂型などに用いられることが多いでしょう。
>> BJT(結合剤噴射)の詳細はこちら
材料開発と共に普及するその他材料の3Dプリンター
樹脂・金属以外の3Dプリンターとして、セラミックスや砂が使用される場合について、それぞれの造形方式の特徴や主な用途について解説しました。BJTもMEXもセラミックスや砂などの材料単体では成形が難しく、樹脂などの材料を合わせて活用しています。
また、その他材料での造形を実現するためには、設備側の技術開発に加えて材料側の材料開発が必要不可欠です。両方の技術が高まることで、さらに性能が向上し、さまざまな業界での仕様に広がっていくでしょう。