みずほ銀行が3DEO社に5億円の戦略的出資、セイコーエプソンや日本政策投資銀行とも連携強化

2024.09.24

みずほ銀行は、セイコーエプソン社および日本政策投資銀行が出資する米国の金属AM企業3DEO社に対して、5億円の出資を行うことを発表した。この出資は、3DEO社の金属AM技術の開発と市場拡大を支援するものであり、日本国内外での技術普及と新たな協力体制の強化を図るものである。（上部画像は3DEO社のプレスリリース。出典：3DEO社）

1 3DEO社への戦略的投資の背景
2 みずほ銀行の狙いと投資の意義
3 セイコーエプソンおよび日本政策投資銀行との連携強化
4 日本国内外での今後の展望
5 M&A,出資などの関連記事

3DEO社への戦略的投資の背景

近年、製造業界全体でのデジタル技術の導入が加速しており、従来の製造方法では対応しきれない複雑な設計やカスタマイズニーズが増加している。このような市場動向により、AM技術の需要は増大している。3DEO社は、金属3Dプリンティング分野におけるリーディングカンパニーとして、独自の技術で市場に大きな影響を与えているという。特に、小型から中型のパーツを高精度かつコスト効率よく製造できるため、航空宇宙、医療機器、自動車産業などでの需要が拡大している。こうした背景から、みずほ銀行は3DEO社への出資を決定し、成長分野への戦略的な関与を図ることとなった。

みずほ銀行の狙いと投資の意義

3DEO社は、独自の金属3Dプリンティング技術「インテリジェント・レイヤリング」を用いて、従来の方法では困難だった複雑な形状の部品を高精度かつ効率的に製造する能力を持つ。この技術により、金属部品の製造において短いリードタイムと低コストを実現し、競合他社との差別化を図っている。また、製造プロセス全体を最適化し、廃棄物の削減やエネルギー効率の向上を追求しているため、持続可能な製造技術としての評価も高い。

みずほ銀行の3DEO社への出資は、単なる金融投資ではなく、成長分野であるAM技術の発展を支援し、日本企業の国際競争力を強化するという戦略的意図がある。3DEO社の技術革新により、製造業界全体の変革を促進し、特に日本企業が新しい製造技術を取り入れることで競争優位を確立する支援を行うことを目指している。加えて、みずほ銀行は3DEO社とのパートナーシップを通じて、新たなビジネスチャンスを創出し、より広範な産業領域におけるリーダーシップの確立を狙っている。

セイコーエプソンおよび日本政策投資銀行との連携強化

セイコーエプソン社と日本政策投資銀行は、既に3DEO社に対して初期投資を行っており、3DEO社の成長を支えてきた。この度のみずほ銀行の出資により、3社間の連携がさらに強化され、AM技術の普及と発展が一層加速することが期待されている。セイコーエプソン社は、自社のプリンティング技術と3DEO社の金属3Dプリンティング技術とのシナジー効果を狙い、日本市場での競争力を高める意向である。また、日本政策投資銀行も、公的金融機関としての役割を果たしつつ、3DEO社の技術が日本の産業に貢献することを後押しする姿勢を示している。

日本国内外での今後の展望

3DEO社は、みずほ銀行の出資を受けて、更なる技術開発と市場拡大を目指している。同社の技術が持つ競争優位性は、今後ますます多くの産業分野での応用が期待されており、特に日本市場においては、セイコーエプソン社や日本政策投資銀行との協力を通じて、金属3Dプリンティング技術の導入を促進することが見込まれている。さらに、グローバル市場では、持続可能な製造技術としての価値を高め、欧米やアジア市場でのプレゼンスを強化する計画である。