NTTデータ社がAlloyed社との資本業務提携を締結
株式会社NTTデータは、世界有数の冶金研究者を擁し、合金設計技術とそれを活用した3Dプリンターによる金属部品の設計・製造を強みとするALLOYED LIMITED(本社:Yarnton, Oxfordshire, England、Chief Executive Officer:Michael Holmes、以下、Alloyed社)への出資を目的とした株式引受契約を2024年7月23日付で締結した。また、3Dプリンターによる高度な製造技術を持つ株式会社NTTデータ ザムテクノロジーズとAlloyed社との間で資本業務提携を行うため、NTTデータ社とAlloyed社との間で株式譲渡契約を、NTTデータ ザムテクノロジーズ社とAlloyed社との間で業務提携契約をそれぞれ同日付でこちらも締結。(上部画像はNTTデータ ザムテクノロジーズ社のプレスリリース。出典:NTTデータ社)
提携の背景と目的
NTTデータグループは、「情報技術で新しい『しくみ』や『価値』を創造し、より豊かで調和のとれた社会を実現する」という企業理念を掲げている。ITを駆使した「しくみ」を顧客と共に構築し、改善を続けて社会の発展に貢献してきた。そして、国内外でのM&A投資を通じて事業を拡大していくことを宣言している。
NTTデータは、樹脂や金属の粉末を一層ずつ重ねることで3次元の造形物を製造するAM技術を基に、新しいものづくりを実現するためにNTTデータ ザムテクノロジーズ社を2020年5月に設立し、さまざまな事業を展開している。持続可能な社会の実現に向けて、今回の提携を通じて拡大するAM市場を見据え、AM技術とデジタル技術を組み合わせた「サプライチェーン改革」をはじめとする製造業DXを推進する。さらに同社は、3Dプリンターの輸入販売・保守サービスを提供し、航空宇宙、産業機械、モータースポーツなどの分野向けに3Dプリンターを用いた先端金属部品の開発・製造を行い、部品の高機能化、高性能化、開発リードタイム短縮などの価値を顧客に提供している。2020年以来、Alloyed社と協力関係を築いてきたが、この度、合金開発技術と3Dプリンター利用技術で世界最高水準のAlloyed社との関係を発展させるために資本業務提携を行うことに合意した。今回の提携強化により、技術力を一層強化し、顧客の先端技術部品設計・製造の課題に対するソリューションを提供し、事業拡大を支援していく。
業務提携の内容
NTTデータ ザムテクノロジーズ社とAlloyed社は、特に以下のシナジー創出を目指し、特定の保有技術を相互にライセンスする。一部技術については独占的使用権を設定するということだ。
シナジー分類 | シナジー概要 |
---|---|
①材料開発 | Alloyed社が保有するガスタービン、ロケット、エンジンなど超高温に耐えられる特殊用途・高機能・高性能材料に関する技術を活用した材料開発案件及び受託製造案件の拡大 |
②生産性 | Alloyed社が保有するAM向け設計、製造制御ソフトウェアの活用によるAM設計最適化によるコスト低減および製造工程の短期化AM製造途中の不具合などに対するインプロセスモニタリングの高度化、自動補正の実現による品質向上銅など製造が難しい素材における品質向上 |
Alloyed社について
Alloyed社は、英国オックスフォードに本社を置く先進材料技術企業である。同社は、OxMet Technologies Ltdの商号を持ち、ABD®合金を含む高度な合金の開発に注力、複雑な形状の部品や高性能な材料を必要とする産業分野に対して、独自の材料技術を提供している。また、同社は欧州の先進材料技術とエンジニアリングの企業として認識されており、多くの産業で高い評価を得ている。2020年には、日本市場への進出を目的として東京オフィスを開設し、既存の顧客サポートを強化するとともに、新たな市場機会を模索している。
今後の展望
今回の提携により、NTTデータ ザムテクノロジーズ社とAlloyed社は、日本市場におけるAM技術の普及と発展を目指して協力する。両社は共同で新たなアプリケーションを開発し、高機能部品の迅速な製造と供給を実現するためのソリューションを提供していく予定である。さらに、AM技術の可能性を最大限に引き出し、製造業の生産性向上やコスト削減に寄与することを目指す。
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