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多機能鉄道重機の導入開始!ロボット技術で鉄道メンテナンス ― JR西日本グループ

JR西日本グループのニュースリリース。

JR西日本グループの西日本電気システム株式会社は、2024年7月より株式会社人機一体、日本信号株式会社と共同開発した多機能鉄道重機を営業線での鉄道設備メンテナンスに使用開始する。多機能鉄道重機は、高所で人が行う様々な設備メンテナンスに対応する汎用性の高い作業機械を目指し、2020年より株式会社人機一体と日本信号株式会社が共同で開発を進めてきたものである。高所作業や重量物の取扱いをロボット技術でサポートし、生産性と安全性を向上させることを目指している。(上部画像はJR西日本グループのニュースリリース。出典:JR西日本グループ)

多機能鉄道重機の概要

鉄道設備のメンテナンスは、鉄道運行の安全性と効率性を維持するために欠かせない重要な作業である。しかし、従来のメンテナンス作業は、手作業が中心であり、作業員の負担が大きく、作業効率も限られていた。特に高所作業や重量物の取り扱いは、危険を伴うことが多く、作業員の安全確保が大きな課題であった。今回、導入された多機能鉄道重機は、鉄道設備のメンテナンス作業を支援するために開発された最新の機械である。高所作業や重量物の取り扱いを安全かつ効率的に行うための複数の機能を備え、具体的には、ロボットアームや高性能カメラ、センサーを搭載しており、精密な作業が可能である。

産業用FDM 3Dプリンター「Stratasys Fortus 450mc」を使用

開発に携わった株式会社人機一体によると多機能鉄道重機の開発には、「専用機ではなく汎用機として、様々な用途・場所で使用したい」「重量物を器用に扱いたい」「不定型で緊急な現場課題に臨機応変に対応したい」という要望を満たす必要があったという。線路内に入る重機には可搬重量制限があり、従来の切削加工ベースの製造手法では、大出力と高精度を実現するロボットを重量制限内に収めることは不可能だと思われ、加えて、各試作機をそれぞれ1年弱という短期間で開発してほしいという要望もあり、革新的な手法を導入する必要があった。そこで、これまで前例のない「重機としての大型ロボットへのAM応用」にチャレンジしたとのことだ。必要な大型部品を製造するためには産業用FDM 3Dプリンター「Stratasys Fortus 450mc」を使用したという。

Stratasys Fortus 450mc(出典:Stratasys)

詳しくは下記の以前シェアラボが取材させていただいた「ストラタシス・デー」参加報告をご覧いただきたい。

導入の目的と期待される効果

多機能鉄道重機の導入には、いくつかの明確な目的がある。まず第一に、メンテナンス作業の生産性を向上させることが挙げられる。従来の手作業に比べ、ロボット技術を用いることで作業速度が大幅に向上し、作業時間の短縮が可能となる。また、安全性の確保も大きな目的の一つである。高所作業や重量物の取り扱いをロボットに任せることで、作業員のリスクを最小限に抑えることができる。さらに、多様な人材の活躍推進も期待され、重労働や危険を伴う作業が減ることで、女性や高齢者、障がい者など、これまでメンテナンス作業に携わりにくかった人々も参加しやすくなる。

実際の使用事例

多機能鉄道重機は、既にいくつかのメンテナンス作業で実際に使用されており、その効果が実証されている。例えば、架線支持物の塗装作業では、ロボットアームを用いることで高所作業を安全かつ効率的に行うことができた。また、支障樹木の伐採作業でも、多機能鉄道重機が活躍している。通常、これらの作業は高いリスクを伴うが、重機の導入により作業員の安全が確保され、作業効率も大幅に向上した。他にも、重量物の運搬や設置作業など、様々なメンテナンス業務で重機が使用されており、その多機能性が実際の現場で高く評価されている。

導入スケジュールと今後の計画

多機能鉄道重機の導入スケジュールは、2024年7月からの営業線での使用開始を皮切りに、段階的に進められる予定である。初期導入の段階では、特定のメンテナンス作業に焦点を当て、効果と安全性の検証が行われる。その後、検証結果を基に、重機の機能追加や改良が行われ、より多くの作業に対応できるように拡充される計画である。また、現場作業員への教育訓練も並行して進められ、操作技術の習得が図られる。さらに、将来的には、他の鉄道会社や関連業界への技術提供も視野に入れており、多機能鉄道重機の普及を目指す方針である。

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