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金属3Dプリンターの巨人が日本のモノづくりにもたらすもの(前編)―EOS Electro Optical Systems Japan

EOSというと、ドイツの金属3Dプリンターメーカーとして世界的に有名だ。しかしEOS自身が語る話を、直接聞いた人はまだ少ないはずだ。それもそのはず、EOSは30年以上の業歴を誇る老舗企業ながら、日本法人が設立されたのは2017年になってのことだ。 日本では総代理店の株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズ社(以降、NDES)を通じて販売されてきた。なぜ日本法人を設立したのか。今後、何を提供していくつもりなのか。日本リージョナルマネージャーである橋爪 康晃氏にお話を直接伺ってみた。

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橋爪氏とJack Wu(ジャック・ウー)氏

――EOSは金属3Dプリンターの分野で世界的に有名ですが、日本法人はまだ立ち上げ数年ということで、どんな会社かご存じない方も多いと思います。簡単な自己紹介をお願いいたします。

EOS資料 3Dプリンティングソリューションのマーケットリーダー画像
EOSは金属3Dプリンターの印象が強いが、樹脂にも取り組んでいる。(提供:EOS)

EOSは全世界で売上455億、社員1200人のグローバルな積層造形企業です。主には金属3Dプリンターを扱っていますが、樹脂3Dプリンターにも取り組んでいます。30年以上前から活動しており、日本ではNTTデータエンジニアリングシステムズ社(NDES社)に総代理店をお願いしております。EOSジャパンは2017年に設立しまして、総代理店のNDES社を支援するという形で運営しております。

EOS資料 3Dプリンティングソリューションのマーケットリーダー画像
2018年の段階で、全世界で3500件以上の導入実績を誇る。日本でも195件以上。(提供:EOS)

――日本には総代理店があるにも関わらず、2017年に支社を作ったのは何が狙いなのでしょうか?

3Dプリンターは買えばすぐに使える、というものではありません。適切に効果を出すのも簡単ではない。いろいろなノウハウや道具が必要になってきます。機材の使い方やサポートは総代理店のNDESさんが対応できるので、私たちは一歩踏み込んだ教育とコンサルティングを行っています。

「Additive Minds」というブランディングで展開していますが、「そもそもお客様が3Dプリンター必要なのかどうか。」「お客様が取り扱っている製品群を専門家が見て、どこに適用できそうか」などを一緒に検討していきます。またすでに生産プロセスまで入り込んで検討されている場合は、「品質管理に関する取り組みはどうするべきか」、「独自材料を利用したいという時は何をどのように検討するべきか」をお手伝いしていきます。

そうした検討プロセスを私たちはAMジャーニー(AMジャーニー:AM導入の旅の意)と呼んでいますが、その名の通りまさに長い道のりです。日本企業の場合、3年から5年をかけて検討を進めていらっしゃいます。AMは、いままでの技術と大きく考え方が違う技術です。造形のプロセスはもちろん、その前後のプロセスも視野に入れて取り組んでいく必要があります。

――総代理店であるNDES社との棲み分けと言いますか、役割分担はどのようにお考えですか?

橋爪氏写真
日本リージョナルマネージャーの橋爪氏

NDESは、もともと日立造船グループのシステム会社です。大規模で複雑な船舶というプロダクトのための、独自CADシステムの開発をおこなってきた実績があります。船舶には厳しい安全基準への準拠が求められます。2Dから3DにCADが移り変わり、求められるサービス水準が高度化していく中、製造現場との対話を通じてシステムを継続開発してきた知見は、他に代えがたいものだと認識しています。また全国にフィールドエンジニアを持っており、実際に保守も可能である体制は非常にしっかりとしています。デジタルなモノづくり全般にわたる知見と全国をカバーするサポート力をもった大変心強いパートナーです。

一方で個別のアプリケーション分野や自働化など、NDESがいままで取り組んでこなかった分野へのコンサルテーション力は私たちEOSでバリューを発揮できる部分です。補い合いながら、日本でのモノづくりにAMを根付かせていきたいと思っています。そのためのサービスの生態系を作っていくことが私たちのミッションでもあると感じています。

――EOS日本支社としては導入支援やコンサルを主体に行い、保守や装置の販売を総代理店であるNDES社が行うということですね。ちなみにコンサルに対する日本の企業の反応はいかがですか?

ここ数年は、複数の3Dプリンターメーカーもコンサルサービスを展開し始めています。これはAMに取り組む企業のニーズを反映したものです。単純に3Dプリンターを買ったから何かがすぐ変わるわけではない、という現実に気づきはじめた企業が増えているのです。

2017年の設立から2年、今後公表できる事例も増えていくところ、ということで手ごたえも感じております。事例の具体的なご紹介は難しいのですが、すでに20件以上のコンサルテーション実績がある、ということだけご紹介させていただきます。

――こう言っては大変失礼ですが、想像よりもはるかに多い件数のプロジェクト実績です。驚きました!

「日本ではコンサルは売れないんじゃないか」という声が、以前にあったのは事実です。ですが、実際に新しいモノづくりであるAMの考え方や、その推進方法を一緒に考えるというプロジェクトは数多く実現しました。AMに関するお悩みをご相談される件数も多く、これからも増えていくと思います。

――今回のTCTJapan2020のブースでも、そんな知見にも触れる機会があるでしょうか?

はい。AMジャーニーの中で一番苦労するところ、設計に関してご紹介しています。

私たちのAMへの取り組みが俯瞰してみていただけるように展示を構成しています。AMへの取り組みは、多くのプロセスで成り立っています。AMのプロセスごとによくある課題と私たちの解決方法をご紹介していく展示になっています。また全自動AM工場などの欧州での最新事例を動画でのご紹介、日本初公開となる造形サンプルのご紹介なども予定しています。

――日本初、と聞くと胸が躍ります!最後に、日本の製造業関係者にメッセージがあればお願いします。

EOSは金属3Dプリンター企業だと思われていますが、樹脂3Dプリンターも開発し、販売しています。エンプラや耐熱性の高い素材でのご相談にも対応してきた実績があるので、ご興味がある方は是非ご説明させてください。

また弊社は装置メーカーではありますが、装置を使うためには必要なもの全てがそろわないと、導入できないと思います。EOSジャパンとNDESさんを合わせると60名以上のチームになっています。レベルのかなり高いサポートを提供している体制になっていると思いますので、是非見てほしいです。

最後にマテハンまで自動化された完全自動化AM工場の動画や日本初公開のサンプルもご用意しています。

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編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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