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全ての金属3Dプリンタにとって最適な材料を突き詰めていく-森村商事株式会社

2020年1月29日から3日間に渡り、東京ビッグサイトで開催される国内最大級の3Dプリンティング&AM技術の総合展「TCT Japan 2020」(以下、TCT)。ShareLab(シェアラボ)編集部は同イベントのメディアパートナーとして事前情報をお届けしていく。

今回の取材は、100年以上の歴史を持ち工業用の原材料を主な取扱製品とする複合専門商社、森村商事株式会社。

森村商事は米ゼネラル・エレクトリック社のアディティブ製造部門、GE アディティブのグループ企業であるAdvanced Powders&Coatings, Inc.(以下、AP&C社)の販売代理店としての顔も持ち、今回はAP&C社の金属粉末をTCTで出展するという。

今回は、そもそもAP&C社とはどんな企業なのか、その金属粉末にはどのような技術が使われているのかについて、同社の化成品事業部、機能性化成品部主任、中室正晴氏に話を伺った。

* * *

全ての金属3Dプリンターにとって適切な粉末を考えるAP&C社

――今回のTCT出展の背景を教えて下さい。

そうですね。まずはGE アディティブの設立背景からご説明させて下さい。GE アディティブは金属3D装置メーカー、ソフトウェアメーカー、材料プロバイダを買収して2016年末に立ち上がったのですが、弊社はその材料プロバイダであるAP&C社の日本・韓国における販売窓口として活動しております。

なので、今回3Dプリンティング及びAMのイベントであるTCTに森村商事として出展するものは、金属粉末となっております。

――AP&C社の概要について教えて下さい。

AP&C社は設立されて10数年と若い会社ではありますが、積層造形用金属粉末の専門メーカーです。後ほどご説明しますが、独自開発したアドバンスト・プラズマ・アトマイゼーション(APA™)プロセス(以下、プラズマアトマイズ法)によって優れた金属3Dプリンター用の素材を提供している会社でもあります。

AP&C社はGEアディティブの傘下に入っていますので、一部のお客様からは、「GE アディティブが販売するプリンター向けの金属粉末しか作っていないのではないか」と思われがちなのですが、実は全ての金属3Dプリンターにとって適切な粉末を考えています。従って、金属積層造形に携わる全ての方がAP&C社のお客様ということになります。

カナダにあるAP&C社、第2工場のサン・
トゥスタッシュ工場 。
AP&C社は積層造形向け粉末のみで、年間1,200トンも生産している

――AP&C社が製造する金属粉末の日本国内の状況について、教えて下さい。

日本・韓国向けの販売量は、まだ少ないのが現状です。

日本の積層造形市場の成長は緩やかですが、AP&C社は日本のビジネス環境と積層造形は相性が良いという認識を持っています。その意味でAP&C社は日本の積層造形市場に大きな期待を抱いており、今の段階から日本でいろいろと活動していくことに大きな意味を見出しています。

AP&C社のコア技術、プラズマアトマイズ法とは

――先程の話にあった、プラズマアトマイズ法はどのような技術ですか?

積層造形用金属粉末を開発する技術です。航空宇宙および医療産業の品質要件を満たすために独自開発されたもので、AP&C社のコア技術になります。

AP&C社のコア技術であるプラズマアトマイズ法(展示ポスターから抜粋)

積層造形には一般的にガスアトマイズ法が使われているのですが、プラズマアトマイズ法では、より真球度の高い粉末を安定して製造できるため、最適な金属3Dプリンター用の素材が得られます。また研究開発から量産まで、幅広いアディティブ製造用途に適しています。

AP&C社はシンプルに積層造形用に適した粉末を目指しています。具体的には、以下のような点を目指しています。

  • 真球に近い形状
  • 高い流動性
  • 内包されるガスを少なくする

真球に近い形状を実現し、流動性を高めることによって、最適な粉末床(パウダーベッド)の状態を作ることができます。

またガスによって気孔が出来てしまうと、造形物の内部欠陥の要因になってしまう可能性があるため、粒子に内包されるガスを抑えることは、造形時のリスク低減につながります。

プラズマアトマイズ法とガズアトマイズ法の内部気孔率を比較したもの(展示ポスターから抜粋)

――国内のお客様とやり取りをされる際、森村商事として重要視している点はありますでしょうか?

お客様が求めている粉末は、カタログに載っている製品だけではありません。粉末の化学組成、粒度分布などを始めさまざまなニーズが存在するため、お客様の要望に親身に向き合うことは重要視しております。

開発について、 ニーズを基に非常にフレキシブルに対応しているのもAP&C社の魅力ですので、今後も当社として、お客様とAP&C社を繋ぐ、双方向のやり取りを通してより良い粉末を目指していければ、と考えております。

どういう品質の材料を使うべきか、についてもサポートしたい

――TCTにおける当日のブースの様子、来場された方にとっての見どころを教えて下さい。

AP&C社としては、初めて日本の展示会に出展させていただきます。当日のブースについては粉末、パネル、ビデオなどを置きます。

まずは日本のお客様に“AP&C社はこういう会社なんだ”ということについて、そして、その技術力を持ってアピールしいきたいと思っております。またお客様が積層造形をする際、将来的な量産に向けた一つの選択肢としてAP&C社を見ていただくということだけでなく、本質的な話として積層造形をする際に、どういう品質の材料を使うべきかということについても情報提供を出来ればと考えております。

私、中室もブースに終日おりますので、是非お声掛け頂ければと思います。

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シェアラボ編集部

3Dプリンタ―の”先進っぽさ”を感じさせる作りに男心をくすぐられる毎日。さまざまな業界にて活用されるアディティブ・マニュファクチャリングの今をお届けします!最近のニュースは、鳥を飼い始めたこと。

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