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シート積層法 / SHL(Sheet Lamination)を解説!

シート積層法は、紙や樹脂、金属などの薄いシート状の材料を、一層ずつその層の断面形状に合わせた輪郭線で切断し、設計した形状になるまで接合、積層を繰り返す造形法です。材料を硬化させる際に加熱や紫外線の照射が不要な場合が多く、他の造形法に比べると設備の構成を簡素にすることが可能です。

シート積層法は、各層を接着する方法の違いによって使用できる材料や造形法の特徴が異なるため、それぞれの特徴について紹介します。

シート積層法 / SHL(Sheet Lamination)の種類

シート積層法 / SHL(Sheet Lamination)
シート積層法 / SHL(Sheet Lamination)

シート積層法に含まれる造形方式の種類について解説していきます。

SDL(Selective Deposition Lamination) / LOM(Laminated Object Manufacturing)

シート積層法は、モデルの断面形状に切り取ったシート状の材料を何層も積み重ねることによってモデルを作る造形法です。使用する材料によって異なりますが、一層あたりの薄さは約0.2mm程度で滑らかな造形物を作れます。

モデルを構築する過程に加熱や紫外線照射などによる化学反応を起こす必要がないため、比較的大きな造形物に対応でき、さらに加熱や紫外線照射の設備が不要なので、構成も比較的簡素です。

また、シート状の材料であれば幅広い材料に対応しており、紙やプラスチックシート、薄い金属箔などが多く使われています。紙やポリ塩化ビニルなど、安価な材料を使用して造形できる点も他の造形法に比べて優れている点といえるでしょう。他にも、シート積層後に機械加工が可能な点もメリットのひとつです。

シート積層法では、使用する材料によって各層の接着方法が異なっており、各層を接着する際に特殊な接着剤を用いる方法をSDLやLOM、超音波を使って接合する方法をUCとよびます。SDL / LOMはラミネート積層法ともよばれ、接着剤が使用できる幅広い材料に対応していますが、主に用いられるのは紙やポリ塩化ビニルなどプラスチックシートです。一方でUCでは超音波を当てることで接合可能な薄い金属箔を用いています。

さまざまな材料に対応でき、比較的大きな造形が可能なシート積層法ですが、液槽光重合や粉末床溶融接合法などの精度が高い造形法には精度が及びません。また、他のサポート材が不要な造形法のように中空の形状に対応することはできず、造形できる形状に制限があるため、使用する際には注意が必要です。

また、造形が完了した時点で造形物はシートの層に埋もれてしまっているため、接着剤が塗られていない不要な部分を取り除く必要があります。材料押出のサポート材除去ほど面倒ではありませんが、サポート部が多いとその分が材料ロスにつながってしまいます。

ここからは、薄い金属箔を超音波によって接合するUCについて、その特徴的な部分を確認します。通常、金属を接合させる場合には加熱し表面を溶融させることで、融合させたりはんだ付けなどの手法があります。しかし、UCでは超音波により金属表面の酸化物を除去することで接合します。

金属は目視では確認できない酸化物が付着しており、その影響で接合できません。はんだ付けでははんだに含まれているフラックスにより酸化物が除去されて接合できますが、UCでは酸化物を除去する機能を超音波が担っています。

また、各層に異なる種類の金属材料を使用することが可能です。比較的融点が低い金属であれば接合できますし、さらにセラミックスやステンレスメッシュなどの補強材も混合できます。用途として、高強度の構造パーツや軽量でありながら高剛性の高性能なパーツの造形が可能です。

シート積層法とひとまとめにされていても、SDL / LOMとUCでは対応可能な材料や造形物の特徴が大きく異なるため、目的に合わせた造形法の選択が重要です。

シート状のさまざまな材料に対応可能なシート積層法

シート積層法は、シート状の材料を積層していく造形法であり、特殊な化学反応が不要なためシート状であれば幅広い材料に対応しています。特殊な接着剤で接合するSDL / LOMは紙やポリ塩化ビニルなどの安価な材料を使用することができ、大きな造形物に対応可能です。

一方で超音波を用いて薄い金属を接合するUCでは、異なる種類の金属材料を接合したり、補強材を混合したりできるため、高性能な造形物が作れます。それぞれ特徴が大きく異なるので、目的に合わせた造形法を選択しましょう。

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