AI 3DのMeshy、約637億円を調達 3Dプリント対応AIエージェントや自動分割機能を発表

2026年8月20日
出典:Meshy
出典:Meshy

AIによる3Dモデル生成プラットフォームを開発するMeshyは2026年7月21日、シリーズBラウンドで約4億ドル(1ドル=159.25円換算で約637億円)を調達したと発表した。企業評価額は15億ドル(同約2,389億円)に達した。Meshyによれば、AI 3Dに特化した企業として過去最大規模の資金調達になるという。

同社は今回、資金調達とあわせて、3Dプリント可能なモデルを生成するAIエージェント「Meshy 3D Agent」や、モデルを造形可能な複数パーツへ自動分割する「Auto Split」などの新機能を発表した。

テキストや画像から約1分で3Dモデルを生成

Meshyは、テキストや画像からAIを使って3Dモデルを生成できるプラットフォームを展開している。専門的な3Dモデリングの知識を持たないユーザーでも、1行のテキストや1枚の画像から約1分で3Dモデルを生成できる点を特徴とする。

2026年7月時点で登録ユーザー数は1,200万人を超え、これまでに生成された3Dモデルは1億点以上に達した。年間経常収益(ARR)は前年同期比で約12倍のペースで成長しているという。

同社が現在注力しているのが、AIで生成した3Dモデルを画面上で利用するだけでなく、ゲーム開発や3Dプリントなど実際の制作工程で利用できるデータへと発展させることである。

3Dプリント可能なモデルを生成する「Meshy 3D Agent」

今回発表された「Meshy 3D Agent」は、会話やテキスト、写真、スケッチなどを入力することで3Dモデルを生成できるAIエージェントである。

生成したモデルはFBX、OBJ、GLB、STLなどの形式で出力でき、3D制作の経験がないユーザーでも利用できる。アイデアの検討から複数のコンセプト生成、選択したコンセプトの3Dモデル化までを一連の流れで行えるほか、3Dに関する質問に回答するQ&A機能も備える。

3Dプリント用途では、生成モデルのスライサー処理成功率が最大97%に達するとしている。また、ゲーム開発向けにはUnity、Unreal Engine、Blenderと互換性のあるモデルを書き出すことができる。

Meshy 3D Agentは、すでにすべての登録ユーザーに提供されている。

造形用にモデルを自動分割する「Auto Split」

3Dプリントとの連携で特に注目されるのが、新機能「Auto Split」である。

大型モデルや複雑な形状を3Dプリントする場合、モデルを複数のパーツに分割し、造形後に再び組み立てられるようデータを調整する必要がある。Auto Splitは、この作業をワンクリックで自動化する機能だ。

モデル生成後にAuto Splitを実行すると、形状を複数のパーツへ分割するとともに、表面の修復や造形プレート上への配置まで自動的に処理する。

分割された各パーツは閉じた水密構造のソリッドとして生成され、継ぎ目についても外観への影響を抑える位置に配置する。さらに、分割されたパーツを組み合わせることで元のモデルを再現できるよう設計されている。

Meshyは、実際の3Dプリンターを使用して分割モデルの造形・組み立てを検証しているとしている。Auto Splitもすべての登録ユーザーが利用可能である。

約10秒でトポロジーを生成する「Smart Topology」

Meshyはこのほか、独自開発した新モデル「Smart Topology」も発表した。

Smart Topologyは、整理されたジオメトリ構造を持つ3Dモデルを約10秒で生成する機能で、ポリゴン数を100~15,000の範囲で調整できる。

従来モデルと比較して生成速度やポリゴン数の制御、トポロジー品質を改善しており、ゲーム開発やインタラクティブWebコンテンツなど、リアルタイムレンダリングを必要とする用途を想定している。

さらにMeshyは、8K解像度の高精細なテクスチャを生成する「8K Texture」も近日中に提供する予定である。

Bambu LabやCrealityなど3Dプリンターメーカーとも連携

Meshyはゲーム、3Dプリント、デザインなど幅広い分野で利用が拡大している。

3Dプリント分野では、Bambu Lab、Creality、Elegoo、FlashForge、xToolなどの3Dプリンターメーカーが顧客・パートナーとして挙げられている。

ゲーム分野でもNexon、NetEase Games、37 Interactive Entertainmentなどが同社の顧客・パートナーに含まれるほか、Hugo Bossなど3D分野以外の企業・組織にも利用が広がっている。

今回調達した資金は、主に研究開発(R&D)とグローバル市場への事業拡大に充てる方針である。

編集部コメント

テキストや画像から3Dモデルを生成するAIサービスは急速に増えているが、3Dプリント用途では「見た目として3Dになっている」ことと「実際に造形できるデータになっている」ことには大きな違いがある。

今回のMeshyの発表で注目したいのは、生成AIそのものの性能だけではなく、スライサーで処理できるモデルの生成や、造形を前提としたパーツ分割など、3Dプリント工程に踏み込んでいる点だ。特にAuto Splitのような機能が実用レベルまで進めば、3Dモデリング経験のないユーザーがAIで形状を作り、そのまま3Dプリンターで造形するまでのハードルはさらに下がる可能性がある。

一方、産業用途では寸法精度や設計意図、機械特性、製造可能性なども求められるため、現時点ではCAD設計を置き換える技術というより、コンセプトモデルやフィギュア、ゲームアセットなどの制作を中心に活用が広がると考えられる。約637億円という大型調達を背景に、MeshyがAIによる3D生成と実際の3Dプリントとの距離をどこまで縮めていくのか注目される。

用語解説

Meshy
テキストや画像などからAIを使って3Dモデルを生成するプラットフォーム。MITで博士号を取得したEthan Hu氏が創業した。2026年7月時点で登録ユーザー数は1,200万人を超え、累計1億点以上の3Dモデルが生成されている。
Meshy 3D Agent
会話、テキスト、写真、スケッチなどからAIを使って3Dモデルを生成する機能。FBX、OBJ、GLB、STLなどの形式に対応し、3Dプリント向けモデルの生成にも利用できる。
Auto Split
3Dモデルを3Dプリントしやすい複数のパーツへ自動的に分割するMeshyの機能。分割だけでなく、表面の修復や造形プレート上への配置なども自動で処理する。
トポロジー
3Dモデルを構成する頂点、辺、面などのつながり方や構造を指す。適切に整理されたトポロジーは、モデルの編集やアニメーション、リアルタイム表示などを行いやすくする。
水密(Watertight)モデル
3Dモデルの表面に穴や隙間がなく、完全に閉じた立体として構成されている状態。3Dプリント用データでは、スライサーがモデルの内側と外側を正しく認識するための重要な条件の一つとなる。
ARR(年間経常収益)
Annual Recurring Revenueの略。サブスクリプションなど継続的に発生する収益を年間ベースに換算した指標で、SaaS企業などの事業規模や成長性を示す際に用いられる。

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