Venus Aerospace、9,100万ドルを調達 3Dプリント製ロケットエンジンの実用化を加速

2026年7月17日
出典:Venus Aerospace
出典:Venus Aerospace

米国の航空宇宙企業Venus Aerospaceは、高推力回転デトネーションロケットエンジン(RDRE)の実用化に向け、シリーズBラウンドで9,100万ドル(1ドル150円換算で約136億5,000万円)の資金調達を完了したと発表した。

同社は2025年5月、高推力RDREとして世界初となる飛行試験に成功しており、今回の調達資金を活用して、防衛・宇宙分野向け推進システムの量産体制構築を進める。

世界初の飛行実証済み高推力RDREを量産段階へ

今回の資金調達は、米ヒューストンのベンチャーキャピタルMercury Fundが主導し、Lockheed Martin Venturesをはじめとする複数の投資家が参加した。

Venus Aerospaceは、飛行実証に成功したRDREを、実際の防衛・宇宙ミッションで利用可能な推進システムへ発展させることを目指している。

また、元NASA副長官のパム・メルロイ氏が同社の取締役に就任したことも発表している。

従来型より約15%高い推進効率を実現

一般的なロケットエンジンは、亜音速燃焼によって推力を発生させる。

一方、Venus AerospaceのRDREは、燃焼室内を連続して回転する超音速のデトネーション波(爆轟波)を利用する方式を採用している。

同社によると、この方式は従来のロケットエンジンと比べて約15%高い推進効率を実現しており、航続距離の延長や搭載能力の向上など、防衛・宇宙ミッションにおける性能向上が期待される。

3Dプリント部品を採用し国内量産を見据える

RDREは、3Dプリント部品と一般的な材料を組み合わせて製造されている。

特殊部材への依存を減らし、調達しやすいサプライチェーンを活用することで、米国内での量産を前提とした設計となっている点が特徴である。

さらに、エンジンは再使用可能で推力制御にも対応しており、弾薬、宇宙打ち上げ、軌道間輸送、月・惑星探査機など幅広い用途への展開を想定している。

用途ごとに専用エンジンを開発するのではなく、共通の推進プラットフォームとして利用できるアーキテクチャを目指している。

防衛・宇宙分野で高まる推進システム需要

近年、米国や同盟国では極超音速兵器や長距離システムの開発が加速している。

Venus Aerospaceは、テキサス州で設計・製造を行い、米国内で供給可能な推進システムの構築を進めている。

同社は2020年の設立から約4年間、累計8,000万ドルの資金で世界初の高推力RDRE飛行実証を達成しており、今回の追加調達によって実用化をさらに加速させる方針である。

シェアラボ編集部コメント

3Dプリンティングは航空宇宙分野で軽量化や複雑形状の実現だけでなく、推進システムそのものの製造技術としても重要性を高めている。Venus AerospaceのRDREは、3Dプリント部品を前提とした設計によって量産性とコスト面の両立を目指している点が特徴であり、防衛・宇宙産業における積層造形技術の活用事例として注目される。今後は飛行実証から実運用へ移行できるかが焦点となりそうだ。

用語解説

■ 回転デトネーションロケットエンジン(RDRE)
燃焼室内を超音速の爆轟波(デトネーション)が連続的に回転しながら推力を発生させる次世代ロケットエンジン。従来方式より高い燃焼効率が期待され、防衛・宇宙分野で研究開発が進められている。
■ デトネーション燃焼
超音速で伝播する衝撃波によって燃焼が進行する方式。一般的なロケットエンジンで採用される亜音速燃焼よりもエネルギー変換効率が高いとされる。
■ 推力制御(スロットリング)
ロケットエンジンの推力を必要に応じて増減させる機能。飛行条件やミッションに合わせて出力を調整できるため、着陸や軌道変更など幅広い運用に利用される。

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