YOKOITO社、1億円投資で生産用3Dプリンター台数を4倍に増強
株式会社YOKOITO(京都府京都市)は、1億円の投資を行い、Yokoito Additive Manufacturing Center(YAMC)の最新アップデートとして生産用3Dプリンターの台数を4倍に増加させることを発表した。同社のAM生産プロセスの効率化と拡充が図られる。新たな技術導入を通じて、自動車や家電、コンシューマー製品などの大手メーカー・サプライヤーを含む1,200以上の顧客に対して、より高度なAMソリューションを提供することを目指す。(上部画像はYOKOITO社のプレスリリースより。出典:YOKOITO社)
目次
YOKOITOの1億円投資の背景と目的
YOKOITO社が今回の1億円投資を決定した背景には、急速に進化する3Dプリンター技術とそれを取り巻く市場の拡大がある。特にAM技術は、自動車や家電、コンシューマー製品など多岐にわたる産業分野での需要が急増している。YOKOITO社はこれまでに培ってきた技術力と顧客基盤をさらに強化するため、生産設備の拡充と技術の最新化を図る必要があると判断した。投資の目的は、生産効率の向上とコスト削減を実現し、顧客に対してより高度なソリューションを提供することである。
この更新により、3Dプリンターおよび関連機器の運用台数を20台から40台に増強し、特に量産・生産用の3Dプリンターは3台から12台へと4倍に増加させた。この1億円規模の投資を通じて、オートメーション化が一層進み、製造体制が大幅に強化、最終製品を念頭に置いた少量パーツの製造はもちろん、中量から大規模な量産まで、より効率的に行うことが可能になった。
Yokoito Additive Manufacturing Center(YAMC)
Yokoito Additive Manufacturing Center(YAMC)は、3Dプリントと樹脂AMに特化した研究・ファクトリー施設として2021年10月、京都市内にオープン。オープン以来、YOKOITO社のAM普及部門であるYAM(Yokoito Additive Manufacturing)が運営し、国内のAM普及の拠点として運営、技術革新と生産プロセスのハブとして機能している。最新技術の導入により、業界最先端のAMソリューションを提供。DfAM(Design for Additive Manufacturing)の高度なコンサルティングサービスを提供し、設計段階から最適化を図り、最新の3Dスキャニング技術とデータ編集ツールを駆使し、精密なデータ管理と造形の高精度化を実現している。さらに、ポストプロセスを含むAMエコシステムの提供により、一貫した生産プロセスをサポートし、顧客に対して包括的なサービスを提供する体制が整っている。
自動化された後処理で多様な製品を実現
新たに導入されたPBF方式プリンターで作成された造形品は、日本で初めて稼働する自動染色機により、従来の単色製品に比べて豊富なカラーバリエーションを実現している。樹脂製品の表面全体に均一な色を染色でき、塗装では得られない均一性と耐久性を提供。色が素材に浸透するため、表面の剥がれや色褪せが少なくなり、染色プロセスは自動化されており、効率的な後処理を低コストで行うことが可能となった。多彩な色の選択肢が提供され、製品の質がさらに向上する。
PBF方式の3Dプリンターを多数導入し、樹脂AM技術の普及を加速
2014年の創業以来、YOKOITO社は10年間にわたり、樹脂AM技術の研究と普及に努めてきた。最近では、最終製品化が可能なPBF(Powder Bed Fusion)技術に重点を置いている。今回の更新により、PBF方式のプリンターを3台から12台に増設し、マルチマテリアル対応が実現した。複数の材料を使用した高品質な樹脂製品を低コストで生産できるようになり、幅広い業界からの支持を得ている。
未来の展望とさらなる拡充計画
YOKOITO社は、今回の投資と技術革新を基盤に、さらなる拡充計画を描いている。まず、国内外での市場シェア拡大を目指し、新たな顧客層の開拓と既存顧客との関係強化に注力する。特に、急成長するアジア市場への進出を視野に入れており、また、持続可能な生産を推進するために、エネルギー効率の高い設備の導入や、リサイクル可能な材料の使用を拡大する計画である。さらに、研究開発を強化し、次世代のAM技術の開発に取り組むことで、常に業界の先頭を走り続けることを目指している。このように、YOKOITO社は未来に向けた持続的な成長を実現するため、全方位での拡充計画を推進していく。
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